横須賀・三浦 スポーツ
公開日:2025.07.04
「スイングするしかない」
橋本拓也さん(横須賀学院高卒 50歳)
「春・夏の神奈川大会でベスト16は、30年以上が経った今も(校内で)破られていないはず─」と遠い記憶を呼び覚ます。
2年生で迎えた横須賀学院の黄金時代。同級生のチームメイトには、プロ野球のスカウト陣が注目する逸材や三浦半島の中学校で名を馳せていた名選手が揃っていた。
小学生の頃は地域のソフトボールチームに所属。進学した同学院中学では野球部が休部状態で、仕方なくテニス部に籍を置いて身体づくりに励んだ。密かにイメージしていたのは当時の人気野球漫画『タッチ』。青春のすべてがそこにあると信じて疑わずチャンスを待った。
高校生になって迷わず硬式野球部に入部。「ブランクは想像以上で圧倒的な実力の差を見せつけられたが、野球への渇望がすべてを上回った」。バットを振り、ノックを受けた回数こそが上達に繋がるとされた”昭和野球”が色濃い時代。チーム内の熾烈なポジション争いに明け暮れた。
がむしゃらに練習に打ち込んだが、3年間でレギュラーにはなれなかった。長打力を買われて代打要因となったが、多くの試合で出番は1回のみ。「ここで結果を出さない限り、次に呼ばれることはない」。そんなプレッシャーからバットが振れなくなった。目覚まし時計より先に目が覚める試合前日の高揚感は一切なくなっていた。そんな苦しい3年間を過ごしたが、今ならその意味がわかる。
* * *
大学生になって飛び込んだ役者の世界は、努力と才能と運のすべてが問われる。目の前にチャンスが転がってきたらどう動くべきかの答えはひとつ。「スイングしなければ成功は掴めない。バッターボックスに立ったら雑念を振り払って自然体でいればいい」。あの頃の自分にそう伝えてあげたい。
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