横須賀・三浦 人物風土記
公開日:2025.09.05
「第一回 鴨居みなとまつり花火大会」で実行委員長を務める
斉藤 智一さん
横須賀市鴨居在住 49歳
見たことのない景色見せてやる
○…地域を思う気持ちを初秋の夜空にド派手に刻む。海と坂のまちである鴨居地区で初めて行われる住民主導の花火大会。少子高齢化で地域の灯が少しずつ消えゆく現状に危機感を抱いて立ち上がった。原動力は、ただ一つ。「このまちと人が好き」。その純粋な想いが、多くの賛同者を巻き込み、大きなうねりを生み出した。
○…鴨居で生まれ育った生粋の地元人。祖父の代は漁師の網元だったという家系に生まれ、幼い頃からこの町の潮風を受けて育った。「昔の鴨居は、町内同士のライバル意識が強くてね。喧嘩も多かった」。そう言って笑うが、ここ10年で状況は変わってきた。祭りをきっかけに若い世代が町内の垣根を越えて交流を始め、地域に新たな結束が芽生え始めている。花火はそれを、もっと大きなものにするための仕掛けだ。
○…その一方で、地域のイベントが人手不足などを理由に、次々と縮小・中止されていく現状もある。「観音崎のさくらまつりも子どもたちが楽しみにしていたワイワイフェスタもなくなった。寂しいじゃないですか」。そんな折、仲間内で温めていた「花火」というアイデア。現実の目標へと変わった。
○…実行委員長の肩書きを背負うが、「自分たちは黒子でいい。誰がやったかなんて分からなくて構わない」とキッパリ。集まった子どもたちが大人になった時に「自分たちのまちには、あの花火がある」と胸を張れるようなシンボルをつくりだすことが狙いだ。鴨居の夜空に打ち上がる一発一発の花火は、単なる光のショーではなく、自分たちの力で未来を明るく照らしていく、というメッセージ。地域を守り、盛り立てていく。そのバトンを次世代につないでいく。
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