横須賀・三浦 人物風土記
公開日:2025.09.19
デフアスリート(陸上棒高跳び)でトランスジェンダーを公言している
佐藤 湊さん
横須賀市池上出身 30歳
Wマイノリティを生きる
○…聴覚に障がいを抱えるデフアスリートとして選手活動を続けている。競技種目は陸上棒高跳び。出場に向けて全身全霊をささげてきた11月のデフリンピック東京大会は、参加国数の条件を満たせずに中止となった。代表の座を射止め、決意表明の場として用意された三浦市での壮行会(講演会)で、来場者の耳を疑うまさかの報告。決まっていた舞台がいきなりなくなった役者のような状況も、努めて平静を装った。
○…横須賀市立ろう学校に通っていた高校2年の夏、陸上部の顧問に薦められて同競技を始めた。聴覚障がい者は、リズミカルに助走を取ることやポールに荷重するタイミングを図ることが難しいとされるが、「健常者の状態を知らない自分はそれをハンデだと思ったことはない」。練習を積んだ分だけ記録は伸びる。与えられた境遇の中で続けてきた、ひたむきな努力がアスリートとしての才能を開花させた。
○…大学を卒業後、アスリート社員になったのを機に、トランスジェンダーであることを公表。過去の自分と訣別する意味を込め改名もした。中高生の頃、デフアスリートやトランスジェンダーをネットで調べても情報がなかった。心は男性だが、戸籍上は女性のため、競技は女性選手として出場している複雑な状況を「Wマイノリティを生きている」と表現。積極的な発信は、どこかの誰かの支えになることを願っての行動だ。
○…東京大会開幕の1千日前からカウントダウンをSNSで発信してきた。夢の舞台に立つことは叶わなくなったが、大会の成功を祈って継続中だ。デフ競技はいまだマイナーの域を出ないが、それは共生社会への関心と表裏一体。社会の意識を変える大切な機会を逃さない。
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