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横須賀・三浦 人物風土記

公開日:2025.10.17

陸に上がった船上ミュージシャン。イベント出演、路上ライブで活躍する
ジェニファー・メイさん
横須賀市在住 27歳

複数のアイデンティティ全部自分

 ○…アコーディオニストでピアニスト。集まる人や演奏する場所に応じて操る鍵盤を使い分ける。クラシック、ジャズ、昭和歌謡、ロック、ヘビーメタルとジャンルを縦横無尽に行き来。横須賀中央のイベント会場や飲み屋街で演奏姿を頻繁に見かけるのは昨年、船を降りたからだ。イギリス系船会社のクルーズ船で専属ミュージシャンとして活動していたがキャリアを一旦ストップし、自分の思い描く音楽を追求しはじめた。

 ○…出自とキャリアで異彩を放つ。米軍基地内で生まれ育ち、父は元軍属、母は日本人。音楽大学を卒業し、24歳でクルーズ船に乗り込み、劇場専属バンドでピアニストを務めた。ショーで披露する曲目は全て初見。譜面を受け取ってから数時間のリハーサルを経て本番に臨む過酷な日々が音楽的対応力と技術を極限まで鍛え上げた。

 ○…郷愁を誘う昭和歌謡のアコーディオン伴奏を「隙間産業」と大きな身振りで笑いながら話した。レパートリーを揃えて若松マーケットに繰り出すと、「レトロな音色と街並みが絶妙な相乗効果を発揮し、反応がすこぶるよかった」。周囲との一体感もあり、自分の気持ちが高まっていくのを感じた。

 ○…今、一番関心を寄せているのは、クレズマーと呼ばれる音楽ジャンル。ウクライナ周辺に住んでいたユダヤ系の人たちが、宗教的・社会的な迫害を受けながらも独自に発展させていった民族音楽だ。「結婚式などで歌い継がれてきた『魂に訴える音楽』をクルーズ船で見聞きして虜になった」と熱っぽく語る。船上で出会ったウクライナ人ミュージシャンの夫の存在が無縁ではない。音楽も国籍も複数のアイデンティティを区別しない。すべて自分であると受け入れる。

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