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東大三崎臨海実験所 歴史的旧館、解体か 「数年以内に着工見通し」

文化

掲載号:2018年5月25日号

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 世界で最も歴史の古い臨海実験所の1つ「東京大学三崎臨海実験所(小網代)」で、旧本館と旧水族・標本棟の取り壊しに向けた計画が持ち上がっている。日本を代表する建築家が設計した歴史的・建築的に価値の高い2棟は著しく老朽。早ければ数年以内に解体される予定で、地元住民を中心に保存を呼びかける活動が始まっている。

 旧水族・標本棟(425平方メートル)は1932年、旧本館(1021平方メートル)は1936年に建設され、いずれも80年以上が経過している。小網代湾に面した建物は、塩害と経年劣化などによって亀裂が入り、耐震基準を満たしていないだけでなく、一部の鉄筋が錆びたことでコンクリートを外に押し出す鉄筋露出(爆裂現象)が確認されている。「ひとたび大きな横揺れが発生した場合、安全が保障できない」と同実験所。

 1年半ほど前、同大の内部委員会が建物を視察。「継続利用は危険」と判断し、利用中止に踏み切った。岡良隆所長によると、旧本館は会議室や資料室のほか、展示室の一般開放や外部研究者の研修施設としても親しまれ、「委員会の有識者からも『景観も良く保存するべき』との声があったが、状態を見るに補修や改築は技術面・費用面で現実的ではないとの結論に至った」と説明する。

国から補助金交付

 施設利用の中止決定後、実験所内では研究室が不足。部屋の捻出に苦慮し、研究に支障が及びかねないことから、同大は国の施設整備費補助金を申請。文部科学省の2017年度補正予算で新施設建設費の交付が決まった。しかし、同費は新設とあわせて既存施設の取り壊しも含まれており、この2ヵ月ほどで解体計画が浮かび上がった形だ。

保存願う地元の声

 2つの建物は、建築家で建築学者の内田祥三(1885〜1972)が設計。同氏は関東大震災後、東京大学復興計画を担当した人物。当時建てられた数々の大学施設のなかには、国の登録有形文化財になっている安田講堂(大講堂)もある。外壁は褐色のスクラッチタイルで覆われたゴシック調という特徴から「内田ゴシック」との名が付けられている。

 急遽持ち上がった解体計画を知った一部の地元住民は、保存に向けた活動を開始。維持管理に役立ててもらおうと寄付が寄せられたほか、今月22日には、市民グループ「緑の油壷を守る会」(大森英理亜会長)が吉田英男三浦市長に対し、建物保存を求める陳情書を提出。地元行政から東京大学大学院理学系研究科への働きかけを訴えた。今後、署名活動なども視野に市内外へ周知を図るという。

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