小網代在住の小渕ももさんがイラストを手掛けた絵本『たべるたべるたべること』の原画展が、横須賀市津久井の「うみべのえほんやツバメ号」で開催中。タイでの創作活動経験をいかして制作され、小渕さんは「命を繋ぐ食の大切さが伝われば」と話している。
『たべるたべるたべること』(くすのきしげのり作/おむすび舎)は、昨年2月に出版された食育絵本。お食い初め、運動会での弁当、冠婚葬祭など、1人の女の子の成長を追いながら、日常の食べる場面をクローズアップ。食に込められた意味や食材への感謝を伝える。「生きることはたべることで、いのちをつなぐということ」という、くすのきさんのメッセージをもとに、小渕さんが柔らかなタッチのアクリル画で表現。「鶏を絞めたり、農作業への労いなどの描写に苦労した」と話す。会場では、これらの原画を見ることができる。
タイ滞在が転機
小渕さんは静岡県で生まれ、3歳から18歳まで三崎で育った。「白墨で道路に絵を描くことが好きで、周りから褒められて得意意識が出ると画家になりたいと思うようになった」と幼少期を振り返る。高校生の頃、同じく絵を生業にするイラストレーターやデザイナーの道があると知り、卒業後、知人が通っていた桑沢デザイン研究所の門を叩いた。デザイン事務所勤務を経て、独立。これまで広告や雑誌イラスト、挿絵、舞台美術などを多数手掛けてきた。
2001年からロンドンやドイツなど拠点を海外へ移し、4年間滞在したタイ・チェンマイでは、エイズ孤児施設で子どもたちと絵を描きながら創作活動を続けた。
08年に帰国し、チェンマイの子どもたちの日常を描いた「ナナちゃんとササちゃん」(福音館書店)で絵本作家デビュー。タイの難民キャンプが舞台の児童書「希望への扉 リロダ」(渡辺有理子作/アリス館)では、滞在経験を買われて挿絵を担当。今作も主人公とタイ人の男児との出会いが物語の軸になっていることから、白羽の矢が立ったという。
会期は3月2日(火)まで。毎週水・木曜定休、午前10時から午後6時。入場無料。絵本原画のほか、浜諸磯の灯台や城ヶ島の釣り人など三崎の海をモチーフに描いた「MISAKIBLUE(ミサキブルー)」も展示されている。
創作活動を語る
1月31日(日)にトークイベントを実施。小渕さんが絵本づくりや海外・三崎での創作活動などを語る。午前10時30分から正午、午後2時から3時30分の2回。事前申込み制で、定員は各回10人。参加費500円。
申込みは同店【電話】046・884・8661
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