県立三浦初声高校は今月8日、トマト生産において「JGAP(ジェイギャップ)」認証を取得した。適切な農場管理基準を満たす農場に与えられる認証で、同校ではミカンに続いて2件目。生徒や教員は、「苦労した分嬉しい」と話し、高品質の維持や来月からの収穫シーズンに向けて意欲を見せた。
「JGAP」とは、農産物の生産時、適正な手順・管理で、食品安全や労働安全、環境保全などを確保する「農業生産工程管理」を指す。農林水産省が導入を推奨し、東京五輪・パラリンピックの選手村の食材調達基準として同認証を採用したことでも知られている。
土や水、肥料、農薬を始めとする厳しい審査基準があり、正しく実施されているもののみに与えられることから、都市農業科野菜部門の生徒23人は、取得に向けて昨夏から本格的に取り組みを開始。一例では、チョークの粉が飛散しないよう、長年使用していた作業場の黒板をホワイトボードに替え、万が一割れても破片が散乱しない特殊な蛍光灯を採用。異物混入や怪我のリスク軽減について意見を出し合ったという。
また、消耗品の管理、整理整頓の徹底で無駄をなくしたことで作業効率がアップ。担当する掛田進哉教諭は「人の口に入る農産物を作っているという責任感を改めて持てたことで生徒の意識が変わり、教育的効果は高かった」と話す。細部に至るまで気を配った結果、審査員からも高評価を得たという。
2年生の阿部駿大さんは「徹底的に掃除をしたり、膨大な量の肥料の在庫を一つずつ確認して記録するなど苦労も多かった」と話し、小野美咲さんは「みんなと相談しながら問題を解決することで、自分も成長できた」と振り返った。
4月半ばから収穫
同校では、麗旬(しゅんれい)と桃太郎ホープという2品種を栽培。およそ5アールの畑で毎年約2・5〜3トンを生産する。環境保全型農業をめざして、校内の牛舎で出た牛糞の堆肥を使用。農薬は極力使わないよう、トマト黄化葉巻病に耐病性のある品種を採用している。
かねてから味と品質の良さに定評があり、校内の直売所(現在は休止中)には、人気のトマトを求めて市内外から買い物客が訪れる。掛田教諭によると、今シーズンの生育は順調で、4月中旬から5月初めが収穫のピーク。来年度の直売所開設時期は、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえて改めて検討するとしており、「販売時にはぜひ、安心安全なトマトを食べてもらえたら」と話している。
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