新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、テレワークなど多様な働き方が広がる中、都市部から三浦に移住する人が増え続けている。三浦市役所「移住相談窓口」への受付件数は2021年度が161件。16年度の29件と比較すると132件増。21年には転入者が転出者を上回る「転入超過」に転じた一方で、「物件の確保が難しい」などの課題も上がる。
市は「移住相談窓口」を17年度に開設。移住を検討する人へ生活環境に関する相談や関連資料を配布している。20年度からは不動産コンサルタント会社とタッグを組み、「空き家相談員」も配置。空き家の賃貸・売却を希望する所有者から提供された情報を集め、利活用したい人に紹介する制度「空き家バンク」を実施している。
市政策課は「都内からでも通勤・通学圏内で、海の見える景色に憧れを抱いて来る人が多い。定年を迎えた高齢者が”終の棲家”として選ぶケースもある」と話す。
今年2〜3月には、三崎で事務所兼ブックカフェを営む出版社「アタシ社」のミネシンゴさんらと連携した講座「三浦移住学」(全4回)を開催した。県内外から15組が参加。リモートワークや開業について講義したほか、最終日はマイクロバスで市内を1周し、2組が移住を決断した。
都心から地方へ
相談件数の増加と並行し、転入者も増えた。総務省が今年1月28日に公表した「住民基本台帳人口移動報告」によると、21年は「転入超過」となるプラス5人に。コロナ禍になる前の19年マイナス228人から大幅増となった。都内では逆に、20年5月に転出者が転入者を上回る「転出超過」に転じ、都心から地方へと人が流れる傾向が浮き彫りとなった形だ。
物件確保が課題
市にとっては追い風が吹いている状況だが、「市内面積の約3分の2は畑で、市街化調整区域が多いため、もともと住宅は少ない。相談が多いのは喜ばしいが、物件数と釣り合っていない」と同課は課題を話す。
移住相談は民間でも行っている。それらは三崎に集中していることから、同地区に移住を考える人が多いのが窺える。
移住・創業支援を行う「ミサキステイル」のメンバー・安原芳宣さんは「ふらっと店に来る人を含めると、相談件数はコロナ前の1・5倍ほど増えている感覚。今は物件を買って改修できているが、今後も移住者が増えれば、海の近くなど人気の場所を提供するのはますます難しくなる」と語る。市への居住を短期間体験できるトライアルステイを展開する「山田屋酒店」の黄川田享さんは「三崎の魅力は全国的に知られ、相談なしで直接不動産屋に行く人も多いと思う。条件に合った物件を見つけられず、他県に流れる人もいるのかもしれない」と推測する。
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