三浦市は民間事業者と共同で、地表面の変位をIoT(モノのインターネット)技術を用いて計測する実証実験を開始した。市内の土砂災害警戒区域に傾斜計を設置、異常があれば市に連絡がいく仕組み。11月頃までにデータを分析し、近年頻発する土砂崩れに対応できるよう市民にいち早く警戒を促すシステムの構築を目指す。県内では、昨年実施した逗子市に続き2例目。
傾斜度30度以上、高さ5m以上などの基準で、神奈川県が指定した市内の土砂災害警戒区域(イエローゾーン)は、179区域ある。そのうち、169区域を生命に著しい危害を生ずる特別警戒区域(レッドゾーン)に指定している。市防災危機対策室によれば、1時間に0・1度の傾きの変位があると、崩壊の危険性があるとされる。
今回の実証実験では、土砂災害警戒区域に指定されている市立南下浦小学校の敷地内にある崖に、計測機器の設計・製造・販売事業を展開する(株)オサシ・テクノス(高知県高知市)が傾斜計を設置。斜面の傾きを0・01度単位で察知する機能があり、15分毎にデータを記録。警備・セキュリティーサービス会社の綜合警備保障(株)(ALSOK/東京都港区)が24時間、カメラで監視。危険を察知した場合には、すぐに市に報告する。
建設・開発・不動産事業を行う西松建設(株)(東京都港区)も早ければ5月下旬に、別の土砂災害警戒区域に傾斜計を設置するという。
市では現在、県と連携し、対策工事をしているほか、降雨の前に市土木課の職員が目視による点検を実施している。綜合警備保障(株)からの提案を受け、梅雨や台風シーズンを控えた時期での実証実験が実現した。
2020年2月、逗子市池子2丁目に建つマンションの斜面で発生した土砂崩れに、18歳の女子高校生が巻き込まれ、死亡した事故は記憶に新しい。市担当者は「市内でも毎年、土砂崩れは発生しているが、幸い民家のない場所で、今のところ人的被害はない。ただ災害は、いつ、どこで起こるか分からない。実証実験の結果に効果を期待したい」としている。
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