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三浦 経済

公開日:2023.01.20

亀吉丸
金目船にカラフル大漁旗
機械船就航100周年祝う

  • 「亀吉丸」の前に立つ石渡和衛さん(左)と成勇さん=1月9日撮影

 日本屈指の漁獲量を誇る金目鯛漁船「亀吉丸」(約95トン)が機械船就航100周年を迎えた。1月9日には、乗組員や関係者が大漁旗をはためかせ、節目を祝った。

 船主は石渡美根和(みねかず)さん(72)。代々続く漁師家系で、かつて帆と櫓を使う木造船だったが、関東大震災が発生した1923(大正12)年、金田にあった長谷川造船所(屋号・五右衛門(ごうぜむ))で初代船主「亀吉」の名を冠した動力船を新造した。美根和さんは「戦争や事故、資金難など苦労もあった」と振り返る。

 当時はサバ漁も操業していたが、40年ほど前から金目鯛を専門とする延縄漁にシフトした。伊豆諸島南部や四国沖で獲れた金目鯛は「三崎黒潮キンメ」と呼ばれ、大形で脂がのっているのが特徴。漁獲直後に滅菌された海水で洗浄し、魚が凍らない0度前後で保冷して鮮度を維持する。こうした高度衛生管理が評価され、一昨年には生産・出荷基準を守り、一定の品質を満たした神奈川県内の農畜産物や加工品を認定する「かながわブランド」に登録された。

 「漁は難しい。皆身を粉にして働いている」と美根和さん。今は息子の和衛(かずひろ)さん(42)と成勇(しげお)さん(40)のほか、乗組員9人で出港する。成勇さんは「たくさん獲って儲けるのが仕事の醍醐味。それで漁師の家族も潤うから」と笑みをこぼす。

 担い手不足が課題だが、「この春には県立海洋科学高校から佐島出身の生徒も入る。若い力も借り、金目船としてトップを維持したい」と和衛さん。漁師の誇りを胸に今後も船に乗り込む。

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