三浦 教育
公開日:2023.03.17
初声小5年生がコウゾ皮剝ぎ体験
「立派な和紙になってね」
初声小学校(八巻貞司校長)の5年生74人が3月7日、手すき和紙を作る過程の一つとして、原料となるコウゾの皮剝ぎなどを体験した。日本伝統の手漉き和紙文化を守ろうと、和田地区を拠点に活動する市民団体「三浦手漉き和紙を考える会」(角田義行会長)の声掛けにより、総合学習の一環で取り組むことになった。児童たちは、慣れない作業に悪戦苦闘しながらも、徐々にコツを掴み、白くキレイな皮を完成させていった。
コウゾはクワ科の落葉低木で、枝の内側にある白い皮は和紙の原料となる。
児童たちは前日、同会が和田の畑で栽培するコウゾを根元から刈り取った。その数およそ300本、長さは約60cmで、重さにして23kgほどになった。
翌日には、それを校庭に用意された2つの大きな窯で約3時間蒸した後、家庭科室に移動。同会メンバーが指導する中、児童たちはコウゾの皮を丁寧に剝いでいった。「焼き芋みたいな香りがする」と笑みを浮かべながら、ヘラを使って"スイスイ"と黒皮や緑色の甘皮も取り除いた。
処理した白い皮は角田会長が所有する倉庫で2週間ほど干し、6月下旬には、再び煮たり、ゴミや不純物を取ったりした後、紙漉き、脱水、乾燥させ、色紙サイズの和紙にする。来年3月の卒業記念として、保護者に感謝のメッセージを書いて贈る予定という。
手漉き和紙の普及と社会貢献活動に取り組むNPO法人「PIARAS」の木南有美子代表は「海の近くでコウゾを栽培するのは珍しい。教育現場で人と人とが繋がり、三浦に誇りを持って伝統を継承してほしい」と期待を寄せた。
5年生は昨年9月、校内の花壇にもコウゾの苗木12本を植樹した。水やりなどの世話は下級生に受け継がれ、順調に育てば約3mまで成長。将来的に同校で刈り取ったコウゾで手漉き和紙作りに挑戦するという。
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