三浦 経済
公開日:2023.08.04
相模のとらふぐ
「大きくなって帰ってこい」
県内産稚魚を初放流
神奈川県水産技術センター(城ヶ島)は相模湾・横須賀沖で釣り上げられる「相模のとらふぐ」から稚魚を生産する技術開発に成功し、7月25日に長井漁港で放流を行った。同センターの一色竜也さんは「この取組ですべて県内産の『生粋の相模のとらふぐ』ができた。今後は安定的な稚魚の生産をめざしていきたい」と量産化に挑む姿勢を見せる。
県を代表する農林水産物や加工品が認定される「かながわブランド」に登録されている相模のとらふぐ。長井の漁師で構成される福会(漆山晃会長)が中心となり、冷凍鍋セットの開発など商品価値を高めてきた。
これまでは県外産のとらふぐの卵を用いて稚魚を生産・放流していたが、今回は県内沿岸で獲れたメスの親魚7匹から生まれた稚魚約4千匹を海に放った。
長年の施策実る
県内産稚魚生産の成功について一色さんは「とらふぐは産まれた場所に帰ってくる習性を持つため、長年の放流で県内沖の個体数が増えたことが一つの要因では」と分析する。地元では1995年から冬場の漁業閑散期の収入源の確保のため、とらふぐ漁を行っており、近年は安定した漁獲量を確保。長井町漁業協同組合の新野大介さんは「これを契機に横須賀でもとらふぐが獲れることを多くの人に知ってもらえたら」と今後の需要の高まりに期待を寄せる。
放流した稚魚は1年から3年かけて成魚となり、早くて来年11月ごろに水揚げされる見込み。
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