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公開日:2012.01.13

看護師と母親を両立
横須賀市立市民病院看護の現場【1】
「10年ぶりの白衣でした」
パートから常勤へ 小野孝さん

  • 病室で患者と会話をする小野さん。声かけの大切さを日々実感するという

 看護師不足が全国的な問題となる中、公益社団法人地域医療振興協会「横須賀市立市民病院」(同市長坂)では多様な勤務形態や教育制度を用意し、働きやすい環境を整えている。子育てとの両立ができるよう、24時間型の院内保育所を完備。一度現場を離れてブランクのある潜在看護師には、復職を支援する研修もある。同病院の看護の現場をシリーズで連載する。



 「結婚を機に勤めていた病院を一度退職し、復職までのブランクは10年以上ありました」。外科病棟で働く小野孝(たか)さん(46)は、看護の現場に戻って約5年が経つ。当初はパート(非常勤)だったが、昨年4月からは常勤看護師として勤務。夜勤もこなしながら家庭との両立を実践している。



 復帰を決意したのは、子育てがひと段落し、時間的な余裕ができたことに加えて、身内を亡くしたことも小野さんの背中を押した。「看護師資格があるからこそ、患者さんや家族の力になれるはず。気力、体力、記憶力のある今しか無い」と足を踏み出した。



 その一方で、不安もあった。一度現場を離れてから10年もの間に、医療も看護も様変わりしていることは容易に想像がついたからだ。



 結婚や出産、転居など様々な理由で一度退職し、その後働いていない「潜在看護師」は全国に55万人いると言われている。復帰が難しい理由の一つが、育児や家事を優先しなければならないため。もう一つが、日進月歩の医療技術や知識に「ついていけないのではないか」という不安からだ。



 こうした現状を改善しようと、市民病院では5年前から潜在看護師の復職支援に力を入れている。子育て中の看護師のために、院内に24時間保育所を整備。また夜勤が無いパート勤務も選択できるため、家庭との両立も実践しやすい。



「ブランク埋められる」



 一度退職してからブランクがある人には、研修制度も幅広く用意。最新の医療や技術を学び直すことができる。ハードとソフトの両方で現場復帰をサポートしている。現在は1日4時間・週3日のパート勤務という人の中にも、将来的には常勤として働きたいと希望している人もいる。こうした環境整備により同病院は一昨年、県の「かながわ子育て応援団」に認証された。



 当初はパソコン操作や看護記録の書き方など覚える事が多かったという小野さんも、周りの助けもあり着実に身につけていった。師長も復職者で理解があり、気にかけてくれる。病棟勤務は外来以上に患者や家族と接する機会が多く、病状の回復を一緒に喜ぶことができる。会話の中で自分の名前を呼んでもらえた時は「看護師で良かった」と思える瞬間だ。「アラフォーでもそれ以上でもブランクは埋められます。大変だけど、やり甲斐はひとしおです」

 

横須賀市立市民病院

神奈川県横須賀市長坂1-3-2

TEL:046-856-3136
FAX:046-858-1776

http://www.jadecom.or.jp/jadecomhp/yokosuka-shimin/html/index.html

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