かつて名産として知られた「葉山生姜」で町の新たな特産品を作ろう―。葉山町商工会が昨年6月から「葉山ショウガプロジェクト」と題したまちおこしを行っている。夏みかんを使った特産品作りに続く第2弾で、東京家政学院大学(東京都町田市)と連携しながら商品開発を進めてきた。今後は学生の作ったレシピを基にしながら商品化への道を模索するという。
夏みかんに続く食材でまちおこし
同会によるとかつて葉山町では生姜が多く生産され、町独特の地質で育まれた生姜は「葉山」の名が冠され、良質美味なものとして広く親しまれていた。しかし時代の趨勢とともに農家が減り、現在は自家用程度で出荷されることはほとんどなくなったという。
同会では一昨年、葉山産の夏みかんを使った特産品づくりを展開。試作を繰り返しながら「夏みかんワイン」や「夏みかん最中」など商品化にこぎつけた。これらの商品が一定の成果を得たため、新たな素材として葉山生姜に着目した。
レシピ開発は他自治体の特産品開発で実績のあった東京家政学院大学に依頼。学生らは生姜特有の風味や食感を加味しながら、ジンジャーエールやケーキ、クッキー、佃煮、中には餡子に生姜を練りこむなど工夫を凝らした試作品を仕上げた。プロジェクト代表で、自らも和菓子店を経営する柳新一郎さんは「学生ならではの発想で面白い。中にはプロの視点を少し加えれば商品化できそうなものもあった」と期待を寄せる。
昨年は町内外のイベントで出品。アンケートでは「風味が良い」「生姜の味が利いていて爽やか」などの意見が相次ぎ、商品化されたら購入したいか、の質問にはいずれの商品も半数以上が「はい」と答えるなど好感触だった。柳さんは「具体的な商品化はそれぞれの事業所が学生の提案に基づいてどうするかだが、新たな特産品として定着するよう、年度内には形にしたい」と意気込んでいる。
「消えた生姜」復活なるか
戦前まで広く生産され「高級生姜」として親しまれていた葉山生姜だが、現在手掛ける農家はわずか数えるほど。牧場を営む三留武さんは4年ほど前から生姜の栽培に取り組んでいる。「葉山は独特の土質で手間はかかるけどね、美味しい生姜ができる」と話す。
三留さんによると葉山の土質は「はねっこ」と呼ばれる粘土質。一般的な土と比べて手間がかかる上生産性も低いが、農作物はきめが細かく、上質のものができるという。「新生姜の時期なんかに直接かじると違いが分かるよ。味も風味もしっかりしてるから、お菓子にも合うんじゃないかな」。
三留さんが所属する「葉山野菜を作る会」では、今回の特産化の話を受け、会員に生姜の栽培を促そうと今年50キロの種を購入。今年収穫した種を会員に配り、生姜の生産を後押ししていく予定だ。「どの程度収穫できるか未知数でまだまだこれからだが、需要があれば今後力を入れていきたい」と意気込む。また生姜を使った商品の特産化については「広大な土地がない葉山の農家にとって作物のブランド化はありがたいこと。認知度が高まるきっかけになれば」と話した。
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