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逗子・葉山 社会

公開日:2026.11.06

集団強制移転、その記憶 逗子の国登録有形文化財・鈴木邸、一般公開

  • 集団強制移転、その記憶 (写真1)

  • 参加者に集団移転の歴史を話す鈴木さん

    参加者に集団移転の歴史を話す鈴木さん

  • 縁側に使われている「丸桁」。柏原集落に自生していた木が活用されているという

    縁側に使われている「丸桁」。柏原集落に自生していた木が活用されているという

 今年7月に国登録有形文化財となった逗子市久木3丁目家屋の一般公開が10月24日に行われた。相模湾沿岸地域一帯に残る邸宅や歴史的建造物をめぐる「湘南邸園文化祭」の一環で実施された=写真上。

 現在の所有者は鈴木利幸さんで、祖父の故・久義さんが1942年に建築に着手し、48年に完成。鈴木家はかつて、現在の「池子の森自然公園」緑地エリアにあった旧柏原集落に暮らしていた。同集落は室町時代の1489年付けの古文書にも記述が見られ、江戸時代には鎌倉・光明寺の寺領となり、米作りを営んできた共同体だった。

 しかし、太平洋戦争中の41年8月、旧日本海軍から弾薬庫建設に伴う立ち退きを通達される。当時、集落には12軒の家族が暮らしており離散しないよう集団移転先を探し、期限が迫る中で現在の久木の土地を確保。神仏や石塔、家財などを牛や馬で運搬したという。鈴木家は他の家が元の家を解体・移築をする中、旧家の材料を用いながら新たな意匠で建築した。

 参加者に同住宅の歴史を説明した鈴木さんは、「築年数は古いものではないが、集団移転してこざるを得なかった歴史的背景と、建築的な造りを評価していただいた」と振り返った。

 一般公開は、文化財登録を後押しした、県内の歴史的建造物の保全活用に取り組む「一般社団法人かながわヘリテージ」も協力。物資が乏しい戦時下から戦後においても、端正でいて重厚な造りにこだわった外観や室内の建具などを参加者に紹介した。

 玄関では、寺社建築などに用いられる装飾板「懸魚(けぎょ)」や「蟇股(かえるまた)」、「格天井(ごうてんじょう)」などを同協会スタッフが解説。客間の床柱に使われたネズミサシの磨き丸太や、台所・食堂の大黒柱に旧家の部材が転用されていることなどが紹介されると、参加者らは「地域の歴史や人々の思いがそのまま息づいている」などと感嘆の声を上げていた。

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