葉山町唯一の少年野球チーム「葉山巨人軍」がめざましい成長を遂げている。創部4年目で昨年度の公式戦記録は23勝9敗。昨年11月には県大会で初の優勝も収めた。戦績もさることながら、発足当時は浮き足立っていた雰囲気は引き締まり、一つのチームとして成熟しつつある。
◇ ◇ ◇
「イーチ、ニー、イチニー」。寒風が吹きすさぶ1日、南郷上ノ山公園ではウォーミングアップする選手らの掛け声が響いていた。この日は4年生が高学年チームと初めて合流した日。記者が訪れるとぴたりと足を止め、「おはようございます」と一同声を揃えた。チームには小学1年生から6年生の56人が所属。毎週末を中心に同公園や小中学校グランドで練習に励んでいる。総監督を務めるのは元読売巨人軍投手で現在キャスターやコメンテーターとして活躍する宮本和知さん(堀内在住)だ。指導方針に掲げるのは「礼・明・競・友・道」。「礼儀を学んで明るさを持ち、切磋琢磨しながら友情を育むことに重きを置いています」と立ち上げからスポーツマンとしての礼節や気概の重要性を徹底して選手に伝えてきた。
◇ ◇ ◇
発足当時は未経験者がほとんどだったが、選手の成長ぶりは目を見張るほど。「葉山の子どもたちは皆素直。素直な子ほどよく伸びる」と宮本さん。貪欲に吸収し続けるうちに結果も伴うようになってきた。象徴的だったのが昨年11月。約60チームが参加する「県南地区親善野球大会」で決勝まで進み、並み居る強豪を抑えての初優勝。つかみとった大金星に試合後、選手の目には歓喜の涙が光った。「チームが一丸になった結果。子どもたちの成長を感じています」。宮本さんも喜びをかみしめた。
◇ ◇ ◇
勝負や競争。現在の教育現場では二の次にされがちな価値観も子どもの成長に欠かせないというのが宮本さんの持論だ。「勝つことは一番ではない。しかし勝つことで初めて得られる自信や積極性もある」。チームキャプテンの小林秀都くん(11)は「強い相手に勝ったり、優勝したりするとまた勝ちたいと思うようになる」、また鶴田海くん(12)は毎朝ランニングや自主練習を重ね、エースナンバーを勝ち取った。「進学しても、またエースを取りたい」。6年生は今月末に引退し、4月からは新チームが始動する。「ここでの経験が野球だけでなく子どもたちの人生の糧になれば」と宮本さんは思いをはせた。
逗子・葉山版のローカルニュース最新6件
|
|
|
|
|
|