NPO法人日本火星協会の理事長を務める 村川 恭介さん 逗子市池子在住 65歳
未知の世界にこそロマン
○…「日本火星協会」。その響きで人は何を想像するだろう。言葉の”あや”か、天体観測の団体か、はたまたオカルト的な集団か。さにあらず。米国を本部とし、全世界に約50ある支部のひとつで、宇宙航行技術が発達する近い将来を見据え、宇宙にまつわる科学研究や生物学、探査や居住研究を促進するれっきとしたNPO法人だ。人類の次なる新天地は火星にある―。「そう考えると面白いでしょ」
○…火星への移住。まるでSF映画のような壮大な構想だが、近年は夢物語ではなくなりつつある。「NASAもロケットや有人カプセルの研究を進めていて、具体的な計画を立てている。技術上は今後50年以内で実現するであろうというのが世界の認識」。自らの見通しでは10数年後には人類が火星に降り立つのではないかとみる。「実際に行くのは今の子どもたち。そのために今から機運を高めないと」。火星砂漠研究基地がある米国本部に日本人を派遣しているのもその一環。「メンバーの中から実際に行く人が出ないかと期待しているんですよ」と目を細める。
○…本業は建築士。20代半ばで「理想の生活空間とは何か」と壁に突き当たっていたところ、大手建築会社が宇宙研究を始めたとのニュースを知った。「胸が高鳴りましたね」。宇宙空間であれば旧来のデザインに捉われることもない。そこに己が求めた答えがあるのではないか。その後も熱は冷めやらず、40歳を前に一念発起。家族を日本に残したまま、宇宙建築学を学びにヒューストン大学に入学するため海を渡った。
○…かつてコロンブスは羅針盤を頼りに大海を航行した。危険を顧みず、未知の世界を追い求めて冒険に出る。好奇心はいわば人の本能であり、ロマンそのものだ。「それにそういう人たちが未来を切り拓いてきた」。火星への移住、立候補はどうかと問うと「できれば住んでみたい。もう少し若ければ手を挙げたかもしれないですね」と笑った。
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