枯れた声を振り絞り、仲間と共に担ぐ神輿。地域で連綿と続いてきた伝統行事は今年、思わぬ形で中止となった。他自治体と同様、逗子葉山の神社でも例大祭は神事のみの縮小した形で執り行われ、感染症対策のために神輿が街を練り歩く光景は見ることができなかった。秋の恒例行事「逗子市民祭り」での神輿パレードも同様だ。
「もちろん仕方がないとわかっていますが、やはり悔しい」と語るのは逗葉神輿連合会の齊藤晞今会長。神輿パレードはイベントを盛り上げ、市民に伝統行事を身近に感じてもらう機会にしようと25年前から行われているもの。亀岡八幡宮神輿会、逗子東龍会、葉櫻睦、久木神社神輿会、長柄神輿保存会によって結成される連合会が実施している。
昨年、会長に就任した齊藤さんは「これまで以上に、多くの人たちに参加してほしい」と初めて一般参加を受け付け。「皆さんが笑顔で担いでいるのを見て、呼び掛けて良かったと思いました」と語る。また、将来の担い手である地域の子どもたちに参加してもらおうと、「子ども神輿」も初めて企画。50人以上が集まり、そろいのオレンジの法被を着てパレードを盛り上げた。「子どもたちが楽しんでいたのはもちろん、親御さんたちも喜んでいたのが嬉しかった」と振り返る。
子どもたちに手紙
今年も開催したいという思いを持っていたが、コロナ禍で市民祭り自体が中止になった。「せっかく楽しんでもらったのに、残念でならない」。何かできないかと考え、参加した子どもたちに手紙を送ることを発案。神輿を担いでくれたことへの感謝を伝えるとともに、「来年こそ、また”わっしょい”しようね」と連合会のメンバー一同からメッセージを送ったという。
いずれの試みも、伝統行事を絶やさず、次世代に継承していきたいという強い思いから。齊藤会長は「来年もどうなっているかわからないが、神輿で地域に元気を届けたいという思いは変わらない。できることを一つずつ、やっていきたい」と笑顔で語った。
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