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逗子・葉山 コラム

公開日:2023.08.04

「年金の繰り下げ受給とは?」 vol.14
人生100年時代今から始める終活のススメ

 このコーナーでは、終活カウンセラー協会認定講師で、「ずしエンディングノート」の制作や市主催の終活セミナーなどで講演する稲恵美子さん(2級ファイナンシャルプランナー・逗子市在住)が人生100年時代の終活について解説します。

 年金は生活費の原資で、約6割の高齢者世帯が公的年金の収入で生計を立てています。(R3厚労省)。その年金を増やすために政府が推奨しているのが「繰り下げ受給(受給を遅らせる)」。65歳から受け取りの年金を1カ月繰り下げるごとに0・7%が加算される仕組み。逆に1カ月早く受け取ると0・4%が減額します。では生涯で最も年金を多くもらうには、いつがいいのか。そのシミュレーションには平均余命が使われます。例えば65歳から受け取ると年間300万円もらえる男性がいた場合、65歳男性の平均余命は約20年なので生涯年金は約6000万円。仮に70歳から受け取ると繰り下げ加算され70歳男性の平均余命は16年なので、生涯年金は6816万円と816万円も増えます。しかし65歳から確実に身体は下降気味に変化します。

 そこで、健康寿命を基準にシミュレーションしてみると、先ほどの60歳からの受給男性の場合、65歳で年間300万が24%減額されても、健康寿命の72歳までは12年あるので2736万円。同様に、65歳から受給にすると健康寿命の72歳までには2100万円。70歳からにすると72歳までには852万円という計算に。健康なうちに多くの年金を受け取るのがいいのか、将来の介護を見越して平均余命を基準に受け取るのがいいのか、判断に迷うところですね。

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