藤沢発の美容室「11cut(イレブンカット)」を立ち上げて11年 吉楽(きちらく)裕さん (株)エム・ワイ・ケー社長 62歳
美容室は魚屋に似ている
○…11分で生まれ変わる美容室「イレブン・カット」。その運営会社(株)エム・ワイ・ケーを立ち上げて今年で11年。3月末現在で神奈川県を中心に全国に117店舗(FC含む)、年間売上は50億円を超す。
○…湘南台に1号店を出店したその年から、県の「水源の森林づくり事業」に寄付してきた。初年度は30万円、3年目からは店名に因み111万円を寄付、今年で8年連続だ。理由を「地域密着の美容室として地域を守る趣旨に賛同した」と話す。「木はお山のヘアー(髪)だよね」と笑う。
○…東北の震災は他人事ではない。仙台店が被災し、また新卒60人の内、12人が東北出身。全員の安否が確認できた時は「本当にほっとした」。すでに2回、現地に支援物資を送る。
○…52歳で創業、それまでは「魚屋を50年」。中央大学卒業後も、「長男坊だから」と家業の魚屋を継ぐ。その時代、大手スーパーが進出し旧態依然の個人店は悲鳴を上げていた。実家を出てスーパーの魚屋を転々とし、36歳で駆け出しの鮮魚小売業の会社と出会う。社長と意気投合し16年間、専務まで務めたが、上場を前に方向性の違いから退いた。
○…「さぁ、なにしよう」。そんな折、利用する湘南台の美容室から店買取りの提案が。「雑誌に美容室のサービスワースト5が載ってて、その逆をやってみようと」。そうして始めたのが「11cut」。「美容室は魚屋と似ている。相手は女性、現金商売、刃物を使う、徒弟制度。個人店からスーパーに移り変わったように、美容室も転換期だった」と時代のニーズをとらえた。
○…大切にすることは、生活に密着した美容室であること。「職人」だった美容師を組織に取り込み、新しい生き方を提案すること。そのためにも社員教育にコストは惜しまない。「今後とも、お客様にとっても出店先にとっても11cutを1つのブランドにしていきたい」と他の追随を許さない。
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