1日に日本スポーツグランプリを最高齢で受賞した 瀬藤(せとう)進一さん 辻堂東海岸在住 93歳
湘南のサッカーキング
○…サッカー歴は約80年。長年シニアサッカー運営などに尽力し、現在もクラブチームに所属、ゴールキーパーを務める。表彰式では天皇皇后両陛下から労いの言葉を贈られた。「あと7年続けて、100歳まで現役でいたいと言ったら、笑顔を返してくれたよ」と、健康的な浅黒い拳を握り締めた。水中トレーニングや1kgの重りを足に巻いての筋力強化など、独自で研究して作ったプログラムをこなしている。
○…「ボールと空き地があればどこでもできるサッカーは世界の言葉。国籍も年齢も関係ない。20人以上がフィールドに立って、1つのボールを繋いで、絆が生まれる」と魅力を話す瞳には、一点の曇りも無い。一線を退いてからは海外遠征も盛んに行い、ドイツやオーストラリアに赴き、チャリティーマッチなども企画。サッカーを通し、国境を越えた活動も今回のグランプリで評価された一因だ。
○…麻布で生まれた江戸っ子。小学生からサッカーを始め、藤棚をゴールマウスに見立て、ボールを追いかけた。インターハイは点取り屋として総得点10点中、8点をたたき出し、名を轟かせた。旧制高校時代に17歳でベルリン五輪日本代表候補に。戦後は三菱化成でサッカー部を創部。5年で1部リーグに昇格させるなど、殿堂入りを果たした故二宮洋一氏ら往年の名選手と共に、昭和中期のサッカー界を支えた。今の日本代表については「まだまだ発展途上。ただヨーロッパに行っている若い選手が伸びているし、前途は明るい」とした。
○…藤沢に住んで半世紀。「明日も試合だ」と言って体をほぐす大ベテランは「僕が試合中にケガをしたら、みんなに迷惑がかかるでしょ。若い連中に遊んでもらってる立場だから、心身の手入れを万全にして望みたい」と謙虚。「三度のメシよりサッカー」。キング伝説は終わらない。
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