「苗字辞典」を自費出版した 新藤 正則さん 大鋸在住 70歳
「あなたの苗字の由来は?」
○…10年余りの歳月を要し、10万とも30万とも言われる苗字の上位5000ほどと自身が出会った人たちを含め、6300もの苗字を1冊の本にまとめ上げた。著書には苗字の推定人口、順位、由来などが記され、難しい読み方の苗字なども盛り込んだ。「時間と根気のいる作業だったね」と微笑む。
○…「四十物(あいもの)さん、木全(きまた)さん、一寸木(ちょっき)さんは全く読めなかった」。普通なら珍しいで終わってしまうが「研究職の血ですかね」。こうした出会いをきっかけに、住所録や名刺を整理していったという。知人の数に比例して記録する苗字の数も増えていった。「勤めている間は片手間に調べていたが、退職を機にまとめてみようと思い立ってね」。
○…6000ページにおよぶ太田亮氏の「姓氏家系大辞典」など、膨大な資料を入手、都内の図書館や神田の古本街に通った。「いざ、始めてみると編集、校正が大変で、何度かギブアップしそうになった」。古希を迎える年になり「それならば、70歳の記念に残すのもいいかな」と笑顔を見せる。
○…1941(昭和16)年京城府(現ソウル市)生まれ、終戦後に奈良県へ。神戸大学理学部を卒業後、化学会社に就職した。「ウレタンの研究に長く携わった」と話す一方、企画や総務、営業、経理など様々な部署も経験、多くの人との出会いがあった。趣味は旅行、街道歩き、マジック、詩吟、写真、家庭菜園など実に多彩だ。江戸時代の政治、経済、生活の寄稿や講演も行っている。5年ほど前から夫人と2人で東海道を徒歩で旅している。「街道を歩きながら表札を見ると地域によって特色ある苗字が出てくる。面白いよね」。
○…珍しい苗字や自身の苗字には誰しもが関心を持つ。「初めて会った人との会話のきっかけにしやすいのでは」と話す通り、サラリーマンにも興味深い一冊になりそうだ。
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