「Cake Show Kanagawa 2013」で日本洋菓子協会連合会会長賞に輝いた 田中 直之さん 城南在住 37歳
「職人魂」作品に込め
○…「朱雀(しゅじゃく)」―。鮮やかな朱色と、躍動感あふれる翼が印象的な作品だ。アメ細工で作り上げるピエスアーティスティック部門に出場し、日本洋菓子協会連合会会長賞を受賞。100%アメ細工で仕上げた作品は「色は一番個性が出る部分。思った色を出すのに苦労したけど気に入っている。完成作品を思い描きながら作った。格好良くできた」と満足の表情を見せる。GW明けから制作にあたり、試行錯誤を重ね完成させた。栄誉ある賞に対し「結果1番だっただけ」とクールだが、「もっとレベルが高い中で戦いたい」と闘志を燃やす。
○…平塚市で生まれ育ち、現在は藤沢市に居を置く。子どもの頃から手先が器用で、美術の授業でよく見本になっていたという。一方で、小中学校ではサッカー部、高校では硬式テニス部に所属、スポーツマンだった。パティシエを志したのは専門学生のとき。「入学当初は、実はパン屋になりたかった。でも学校で菓子作りを学ぶうちに面白くなって」とパティシエの道へ進むことを決意した。
○…2002年秋、現在働いている「とろわふれーる」へ。オーナーの義兄と前の職場で一緒だったことや、専門のときに研修に来たことなど、不思議な縁があった。「何もない状態から1つひとつの工程を経て、物を作り上げることが好き」と根っからの職人気質だ。後輩からも「焦らず冷静で落ち着いている」と尊敬されるように、言葉数は少ないが、発言に重みを感じる。
○…毎朝4時30分出勤と朝早いが、たまの休みは2歳半になる息子と遊ぶのが楽しみ。自身が作ったケーキを食べて「『うまい』って言ったけど、何でもうまいって言うからなぁ」と苦笑い。なんと息子の誕生日はクリスマスイブ。「忙しくて帰れない」とぼやくが、子どもの話になると「職人」の目尻も下がり、「パパ」の表情になった。