苦節5年の論文に栄冠 湘南工科大院生 深瀬さん
准教授との二人三脚で、足掛け5年―。ようやく「未来の技術」が実を結んだ。
湘南工科大学・大学院電気情報工学専攻博士後期課程2年の深瀬尚久さん(27)が、2013年12月に愛媛県で開催された国際会議で最優秀論文賞を受賞した。
コンピュータシステムの技術向上を目指し、日本をはじめ台湾や中国、マレーシア、フランスなど世界各国から研究者が論文発表や意見交換を行う同会議。その分科会の一つで、事前の査読審査を通過した17件から、深瀬さんの論文が最優秀賞に選ばれた。
深瀬さんの研究テーマは「NoCルータのためのリンク共有法の性能評価」。コンピュータの通信回路のメモリ周辺を改善して、処理スピードやコストパフォーマンスなどの性能を上げる仕組みをまとめた。1、2週間念入りに練習し、会議当日は、制限時間20分内に英語で論文を披露した。「まさか賞をとれるとは思っていなかったので驚いた。サポートして下さった方々のおかげ」とはにかむ。
アイディアマン「博士第1号」に期待
残り1年の過程を修了すると、情報工学科開設約50年以来、「第1号博士」となる深瀬さん。学部4年生から三浦康之准教授からアドバイスを受けながら同研究に打ち込んできた。理論上はうまく機能するはずだったが、プログラム上で行うシミュレーションでは充分に機能せず、苦労も多かったという。だが、「新しい仕組みを考えることが楽しい」というアイディア豊富な深瀬さんと、ノウハウを持つ三浦准教授との二人三脚でようやく大成させた。
学科長の渡辺重佳教授は「従来にはない画期的なアイディアが盛り込まれている。新しい論理は評価されにくいが、コツコツと結果を実証させたことが素晴らしい」と話す。同大にとっても快挙になるという。
実用化には程遠いが、将来的にはグラフィック処理をする基盤に用いられる可能性もあり、「今後も研究に励みたい」と意気込む。
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