「逆転の発想」で業界に新風 屋根材製造 田村忠夫さん
ものづくり大国・日本。世界に誇る技術を持つ職人、企業が多く存在するが、ここ藤沢にも屋根業界の底流を支える技術者がいる。
長後と綾瀬の市境にある屋根材製造「(株)忠技研」会長で、生まれも育ちも長後の田村忠夫さん(73)がその人だ。江の島シーキャンドルをはじめ、東京スカイツリータウンのプラネタリム「天空」ドームなど国内有数の建築物のほか、キリバス共和国・国会議事堂などの屋根や外壁を手掛け、業界にその名を轟かせる。
美しく雨漏り知らず
一般的な横葺き屋根は、屋根板を表側から接合するが、その継ぎ手部分から雨漏りしてしまい、職人のみならず、家主にとっても悩みの種だった。42歳の時、「プラモデルのようにもっと簡単に施工できて、雨漏りしない技法はないか」と考え、袋状に折り曲げた継ぎ手を開発。従来外側にあった継ぎ手をあえて内側で噛ませることで、見た目も美しく、かつ雨漏り解消に成功した。「ごく単純な逆転の発想。思いついた時はこれで皆が満足してくれるとゾクゾクした」と微笑む。
オリジナル工法を大手商社に売り込むと、即採用され、大手ゼネコンから受注が相次いだ。中でも感慨深いのは1985年、6カ国経済サミットのために建築された御殿場の「経団連ゲストハウス」だ。「初めての官公庁物件で、大規模で素晴らしい建物を手掛けられ、それは嬉しかった」
その後も技術開発を続け、特許取得は100件にも及ぶ。「品質管理に責任を持ち、いつも100%以上の製品を造る。そうでないと、感動や信頼、価値は創造できない」ときっぱり。自身と品質に厳しい技術者魂が、美しく機能的な屋根と施主の思いを支えている。
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御所見でスマホ相談4月23日 |
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