第55次南極地域観測隊の「越冬隊」の一員として参加し3月に帰国した 金田 祐さん 辻堂神台在住 36歳
最果ての銀世界目指し
○…主に機械部門担当として、観測船「しらせ」に乗船。長期滞在の観測チーム「越冬隊」のひとりとして、過酷な冬を含む1年以上を南極で過ごした。極地での生活を振り返り、出た言葉は月並みだが、「寒かった」。冬はマイナス40℃近くにもなる最果ての土地。熱湯をまけばそのまま空中で凍結する、通称「お湯花火」現象を見せるほどの極寒の環境は、常に生命の危険と隣り合わせの日々だ。「気温が低いということが、どれだけ人間にとって厳しいことなのかを実感した」と語る口調が、苦労を一層にじませる。
○…昭和基地ではトラックや雪上車の維持・管理を中心に、生命線となる発電機なども含め整備エンジニアとして活動。加えて、雪かきなど全員参加の作業もありハードな日々だったが、憧れていた風景に触れた喜びの方が大きかった。「圧倒的なスケールの銀世界や氷山など、雄大な自然を目の当たりにできて嬉しい。特にオーロラには、言葉にならないほど感動した」と目を細め、深く息を吐く。
○…普段はいすゞ自動車(株)藤沢工場に勤めるメカニック。観測隊でいすゞ製のトラックが採用されており、同社は第1次隊から途切れずに隊員を派遣している。入社後に経験者から南極での活動を聞き、未知の世界への強い思いが芽生えた。基地には初代から同社隊員全員のサインの入った社旗が飾られており、最後に自分の名前を記した時は感慨もひとしおだったという。「社の代表、国の代表として務めを果たせたかなと」
○…山口県出身。子どものころから機械いじりが好きで、自然にエンジニアの道を選んだ。専門学校を卒業後、就職を機に藤沢へ。現在の専門はエンジン整備だ。「機械の不具合を突き止めて、きちんと直すのは達成感がある。探究心のようなものをくすぐられるのかな」。過酷な現場で心身を支えたのは、責任感以上に、未知なるものへの好奇心だったのかもしれない。
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