神奈川県優良小規模企業者表彰を受賞した 庄司 勝治さん (株)庄司歯車エンジニアリング代表取締役 87歳
発明を人の役に
○…遠藤にある従業員わずか4人の小さな町工場で、世界で唯一つの『歯車装置』を製造している。主に歯車で小さい力を大きな出力に変える減速機と呼ばれる装置。従来は電機や鍵などでブレーキを付けるが、「庄司ロック」と名付けた機能は、ブレーキやストッパーの必要はなく歯車だけでロックさせる画期的なもの。回転位置を保持したまま自動的にロックがかかる、この仕組みが他にはない。その独自の技術、発想による商品化が評価され、7日に県内の優良小規模企業者に選ばれた。「冥土の土産ができた」と冗談めかすが、「受賞を励みにもっと広く製品を普及していきたい」と意欲を燃やす。
○…「失敗」が発明を生んだ。10数年前、受注した製品を製造しているときに、歯車が止まって動かなくなった。「失敗だ。不良品だと思ったけれど、それが発明につながった」。試作を繰り返し、2005年に「県発明考案展覧会」に出品。注目を集め、県知事賞を受賞し、国際・国内の特許も取得した。軽量でコンパクト、また、さまざまなシーンで応用が利くのも重宝される理由の一つだ。今では海洋調査ブイの検査機器の巻き上げや、屋形船の屋根の上げ下ろしなど思わぬ場所でも使われている。
○…仙台市で生まれ育つ。幼少時から絵を描くことが好きで、中学卒業後はペンキ屋に就職先が決まっていた。ところが「これからは学が必要」と母に反対され、工業学校へ進学。卒業すると同級生の誘いで、藤沢市に拠点を置く歯車メーカー・日本ギア工業に就職した。35年間勤め、退職後に「好きなものづくりをやりたい」と自身の工場を設立した。「これまでの人生の集大成が庄司ロック」と胸を張る。3年前から息子の浩和さんが専務として加わり、5月に社長を引き継ぐ予定だという。「この発明が多くの人の役に立てると嬉しい」。親子タッグで「庄司ロック」のさらなる普及を目指す。
|
|
|
|
|
|
|
<PR>
|
<PR>