藤沢市民オペラの芸術監督を務める 園田 隆一郎さん 39歳
多彩な感性をひとつに
○…日本最古の市民オペラで、40年以上の歴史を誇る藤沢市民オペラ。楽団の指揮だけでなく、舞台全体の舵取り役も担う芸術監督に就任した。「自分が学生のころから逸話を聞いていたほど、歴史と知名度のあるオペラ。比較的若手の自分に、機会を与えてもらい大変光栄」と背筋を伸ばす。
○…藤沢で初めて挑む舞台は、2月27日にプロの団体を招いて開催する「蝶々夫人」。2017年11月の次回市民オペラ開催に向け、市内のオペラ熱を高める狙いの先行企画だ。「指揮者の仕事は、公演ごとに単発のことも多い。時間をかけて、複数の舞台をじっくり作り上げるのは貴重な経験」。伝統と自分の個性、出演者の力の融合へ向け情熱を注ぐ。
○…愛知県出身で、東京藝術大学卒業。小中高と打ち込んだ吹奏楽部で指揮の魅力に触れ、大学では指揮科に進んだ。専攻する者もプロになれる人数も限られ、狭く険しい道だが「オーケストラは一人ひとりが個性ある演奏家で、本来バラバラなもの。それをひとつの方向性にまとめ上げることは、大きな魅力とやりがいがある」と話す。在学中に総合芸術であるオペラの魅力に触れ、交響曲の指揮から志望を転向。大学院在学中に本場イタリアに渡って指揮者のジェルメッティ氏に弟子入りし、06年に現地で指揮者デビューを飾った。その後は新進気鋭の指揮者として、国内外で高評価を受けている。
○…休日には妻と1歳の息子の3人で穏やかに過ごす家庭人。とはいえ、現在はローマと東京に居を構えて半分ずつ滞在する生活のため「昨年は家族と3カ月間全く会えない時期もあった」と少し寂しそう。息抜きで映画を見ることも多く、「仕事とは切り離して楽しんでいるつもりだが、見事な演出や構成を見るとつい指揮の参考になるか考えてしまう」と照れ笑い。日々磨いた感性の結晶となる舞台の幕は、間もなく上がろうとしている。
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