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藤沢 人物風土記

公開日:2019.03.29

福島県に通い続け、自然や動物を描く画家
山内 若菜さん
辻堂東海岸在住 41歳

命の大きさを描く



○…東京電力第1原発事故後の福島に通い続け自然などを描いている。その新作個展を横浜市のギャラリーで開催中。代表作の「山」と「海」は、福島の大自然とそこに佇む自身の心象少女を描いた。横7・2m、縦1・8mに及ぶ大きな作品。「包み込まれるように見てもらえる、私の描いた福島を体験してほしい」と静かに語る。



 ○…動物が好きで、牧場でよくスケッチをしていた。3・11の後、「大切な命が傷つけられている」と悲しい気持ちで絵筆を取った。メディアを通して見た牧場の絵を描き展覧会で披露すると、仲間から「実際はこんなもんじゃない。現場に行くべきだ」と誘われ、浪江町や飯舘村の牧場を訪れるように。家畜の殺処分、変死する牛や馬。想像で描いたものとまったく違う世界を目の当たりにし「命が軽んじられているようだ」と陰鬱な気持ちになった。



 ○…それから取材やボランティアで月に1度は通っている。そうして描く絵は、福島で感じた放射能の見えない怖さを描くと同時に、命の尊さや大きさを表現するように。「無駄な命なんてないから」。強い気持ちは作品のサイズも大きくする。現地へ何度も行き取材して描いた「牧場」は横30mにも及ぶ大作。地球を身ごもる母親を表現した「福島の母」は縦7mになる。県内外で精力的に個展を開き、それが縁となり、今は小中学校で講演会を開くようになった。



 ○…生まれは辻堂東海岸。幼い頃から絵が好きで美術大学に進み、卒業後は働きながら絵が生きる糧に。最初に福島を訪れてから6年、当初は暗く黒い画面構成だった絵は、少しずつ明るく変化しているという。「私自身が心を変えて見えてきたものがある。今は福島が第2の故郷。その美しさを描いていきたい」

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