藤沢市腎友会の会長を務める 星川 俊道さん 藤沢市本町在住 63歳
透析治療の現状知って
○…全国で33万人とされる腎臓病による透析患者。現在約150人が加盟する藤沢市腎友会の会長を務め15年になる。先頃は会発足30周年の記念事業として、透析や腎移植を受けて30年が経つ会員を表彰した。自らも透析治療を受ける一人として、今こう思う。「当事者だけでなく、透析治療がどういうものなのか。多くの人に知ってほしい」
○…約4時間の治療を週3〜4日、加えて厳しい食事制限。確かに治療には心身ともに大きな負担を強いられる。ただ、医療技術や支援制度が進歩し、適切な自己管理さえできれば健康な生活を送れる人も増えた。だがその一方、「病気になったのは自己責任」「寿命は持って5、6年」といったかつての偏見も根強い。加えて昨年8月、透析治療中止という選択肢が示された女性が死亡した問題が報道されたことで「透析して苦しむか、死か」というイメージが助長された。「透析治療は人それぞれ。一様ではないんです」。分かってほしいと願うように言葉を紡ぐ。
○…養護学校の教諭だった43歳のとき、異常が見つかった。透析患者のわずか3%にあたる、遺伝性の腎臓病だった。「半年後には透析を始めないといけない」。医師から告げられ、病に怯える日々。深夜ラジオを聞きながら「このまま明日が来なければ」とも思った。それでも20年治療を続け、「こうして生きていますから」とにこりと笑う。
○…旅行が好きで、病気になってからも世界各国に足を伸ばした。シアトルでイチローの試合を観戦したのも、今やいい思い出だ。年齢を重ねたこともあり、かつてほどではないが時折国内旅行に赴く。実は今、密かな野望がある。「もう一度海外に行きたくて」。ギリシャか、ポルトガルか。海の向こうに思いを馳せる表情は幸せそうだった。
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