4月3日に放送されるNHKドラマ『猫探偵の事件簿』のモデルになった 藤原 博史さん 大鋸在住 50歳
野性と論理で”謎”解明
○…迷子になったペットを探す「ペットレスキュー」を1997年に創業し、犬猫など様々な動物を捜索。依頼は全国から3千件。「隠れる天才」の猫に限ると発見率は8割という。「仕事は地味な作業の繰り返し。ドラマにして共感を得るのかと思ったが、自分の活動で人と動物の共生であったり何らか影響があれば」と静かに語る。
○…子どもの頃は「立つより這っている生活」と表現するほど虫や動物ばかり追いかけていた。中学3年の1年間、家出をして野外生活を送っていた。駐車場の車の下やホームセンターの物置などで過ごし、寒い日は捨て猫や犬と抱き合って寝たことも。「とにかくその生活が楽しくて、家に連れ戻されるけどすぐ脱出。生粋の野良なんでしょうね」と笑う。卒業式を区切りにきっぱり生活を改め、葬儀屋やホテルなど職を転々とした。沖縄で車海老の養殖業をしていたある日、ペット探偵になって大活躍している夢を見て一念発起。上京して活動を始めた。
○…40項目に及ぶカルテを基に論理的な捜索計画を組み立て、場所の特定を進める。開始3秒で見つかることもあれば、半年以上かかる案件も。「動物は言葉の世界で生きていない。人間の思考で考えても寄り添えない」。それぞれに飼い主の思いを背負うが、捜索中はそうした感情を削ぎ落とし、野外生活で培った五感をフルに働かせて計画を遂行する。不審者と間違われ通報されることもあるが、見つけた時の感動は普通の仕事では味わえない達成感だ。
○…「ペットへの思いを吐露できる場所を」と昨年、鎌倉の佐助稲荷神社でペットのお守りや絵馬を作った。「生と死に向き合う仕事。生き別れになってしまうと区切りがない。そういう人の心の拠り所になれば」