4月12日まで個展を開催する「紙彩画」の作家 太田 宗平さん 善行在住 87歳
雑音廃し、心眼で見据え
○…ちり紙を溶かした粘土状素材に絵具を混ぜ込み、コラージュして描く「紙彩画」。唯一無二、緻密な質感の作品は国内外の画壇に衝撃を与え、欧米、ミラノやパリなどでも出展。限りない色彩美への渇望を抱き、画業は65年を超える。「作品は全て自分の中から生まれる。使うのは心眼。創作はすなわち過去の自分との対話」と自身に言い聞かせるように言葉を紡ぐ。
○…伊豆の農家の育ち。今も紙を溶かしながら思い出すのは、田んぼで走り回った時の足の裏を滑り抜けていく泥の感触だ。幼い頃から絵が上手な子として地域では評判で、小学校3年にして画家を決意。戦後は銀座の画廊付きの研究所に通いながら、兄が立ち上げた玩具会社でデザイナーとして働いた。ピストル玩具がヒットするも順風満帆とは行かず、会社を畳み藤沢市へ移住した。
○…当初は油絵を扱い、1年間渡仏もしたが「これぞ、という手ごたえは無かった」と苦笑い。そんな中、友人で市内在住の詩人・五島研悟氏の依頼で、環境保全活動普及のため牛乳パックリサイクル紙に絵を描くことに。手漉き紙の面白さに無性に心惹かれ、試行錯誤の結果、独自の作風誕生に繋がった。「紙と”おしゃべり”できるようになるには約30年かかった」と微笑む。
○…「雑音を廃し、創作に徹せるように」と、無駄を極力削ぎ落した生活は修行僧のよう。起床後は荒縄で乾布摩擦、仕事はきっかり7時間、肉は口にせず、1年365日自身で手作りした玄米ごはん・みそ汁・お浸しの献立、夜は焼酎1合5尺、情報はラジオのみ。これまで病気知らず。作風や感性を「自然に同化しようとしているかのよう」と評する人もいる。「人は自然の中で生きる」と穏やかに語った。
|
|
|
|
|
|
|
<PR>
3月29日