市内のベンチャー企業(株)E・ミニモ(本社大庭)が開発を進めていた、商業用電動(EV)バイク「EVバトラ」が3月、量産化に成功し、全国販売へ乗り出した。代表の西尾達二さん(61)が思い描いた「埋もれる国内の優れた技術を集めて、最先端の製品を作りたい」という夢が10年がかりで達成した。
EVバイクは環境への負荷が少ないことや音の静かさ、維持費が安価であることなどから注目が集まっている。反面、パワーや持続性に弱く、100kgを超えた積載では、坂道の昇降や、信号停止後の再発進といった動作が難しいなど、新聞やピザ配達といった業務用への実用化はあまり進んでいなかった。
EVバトラは、ガソリン商業用バイクの代替を目指して10年前に開発開始。1回の充電で、110kgを積載した状態で、80Kmの走行が可能。最大30%の傾斜の斜面も昇降できる。充電は家庭用電源にこだわった。
デザイナーを経てバイク業界で働く中で、中小企業の底力に光を当てたいと考えるようになった西尾さん。「技術は製品になって初めて認められる。大手が手を出しにくい分野でなら戦える」とプランを描き、2010年の湘南ビジネスコンテストの大賞受賞など、高い評価と後押しを受け開発に踏み出した。
実証実験も行い、オーダーでの高額販売は可能の段階までこぎつけたが、全国流通に欠かせない量産化に向け、生産コスト面で難航。昨年末には計画頓挫ばかりか倒産の危機まで迫っていた。今年に入り、知り合いの企業から声がかかり、一転、遂に製品として流通させられることになった。まずはリース会社を通し販売開始。最初の目標台数は40台だ。西尾さんは「藤沢から世界へ、未来の乗り物を走らせたい」と話した。
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