「自粛は闘いだべ。」など話題になったフジサワ名店ビルの懸垂幕の仕掛け人 増田 隆一郎さん 鵠沼松が岡在住 44歳
独自の世界観を演出
○…新鮮な魚や野菜が並び、買い物客を呼び込む大きな声が響く。上階には昔ながらの喫茶店や書店も。ここは「名店」が揃う場所。ショッピングセンターなんて洒落た言葉は似合わない。喧噪と昭和の空気かおるこの場所には「魅惑の頑固商店街」。そんな響きこそ相応しい―。コロナ禍で話題を集めたフジサワ名店ビルの懸垂幕。メッセージを通じ、独自の世界観を演出してみせた。
○…意識したのは「自分たちでしか言えないこと」。創業55年のビルはいわば人生の酸いも甘いもかみ分ける中年層。「今の状況で名店ビルの”おっちゃん”なら何て言うか」。コロナ禍での第一弾は「自粛は闘いだべ。」。地域の一部で使われる「藤沢弁」を取り入れることで、親しみを強調。片瀬小、片瀬中出身の自らも「昔はよく使っていた言葉」と振り返る。懸垂幕は藤沢駅からの見通しが良いこともあり、SNSで一気に拡散。第二弾の「さぁ、やるべ 商売、七転八起」の反応も上々だ。
○…不動産業の(株)角若松5代目社長。2年前には名店ビルの取締役にも就任した。学生時代はサーフィンに没頭。本場の波を求めて渡米し、一時は日本アマチュアランキング3位まで上り詰めた。20代を最後に競技には見切りをつけ、30代半ばで横浜国大の夜学へ通い、その後東大大学院で経済を学んだ。統計による市場分析や経営判断。「死ぬ気で勉強した」当時の経験が今に生きる。
○…駅周辺の再整備など過渡期にある藤沢。生まれ育ち、現在は仕事をする場所としてまちづくりにも積極的に携わる。「今の藤沢は良くも悪くも”優等生”。もっと個性を色濃くしてもいいんじゃないかな」。目標は藤沢独自の世界観を作ること。懸垂幕での発信はその一端でもある。
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