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善行「グリーンハウス」 今春改修 市民団体の保存活動実る 80余年前の趣き、今に伝え

文化

掲載号:2020年10月30日号

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緑色の屋根と南欧風の佇まいが特徴的な建物外観(上)と施設内を紹介する宮田さん
緑色の屋根と南欧風の佇まいが特徴的な建物外観(上)と施設内を紹介する宮田さん

 今春再整備が完了した県立スポーツセンター=善行=の一角に、ひと際目を引く南欧風の瀟洒(しょうしゃ)な建物がある。通称「グリーンハウス」と呼ばれ、80余年の歴史を今に伝える。老朽化に伴い一時は取り壊す計画もあったが、同センターの再整備に伴い新たな装いに生まれ変わった。修繕を施し、かつての趣きはそのままに。保存に尽力してきた市民団体関係者も再生を喜んでいる。

 「すっかりきれいになった。昔の雰囲気が残るよう、県は素晴らしい復元をしてくれた」

 20日、グリーンハウスの保存を求めて活動してきた市民団体「善行雑学大学」代表の宮田英夫さん(85)は目を細めた。

 グリーンハウスは1932(昭和7)年に完成。かつて関東有数のゴルフ場として知られた「藤澤カントリー倶楽部」のクラブハウスで、日本モダニズム建築の先駆けとなったアントニン・レーモンドが設計した。現存するクラブハウスとしては日本最古だ。

 建物は鉄筋コンクリート造3階建て。スペイン様式の造りに屋根が緑色だったことにちなみ、「グリーンハウス」と呼ばれた。

 入口から中央階段を上がると大広間が広がり、細かなデザインが施されたモザイクタイルが床面を彩る。かつて中央には暖炉やバーカウンターも備え、皇族や著名な政治家、財界人、作家などが交流する社交の場でもあったという。

 戦争が始まり、クラブハウスとしての営業はわずか11年で幕を閉じ、戦時中は旧日本軍、戦後はGHQに接収。その後は共同住宅や合宿所など経て、2017年までは食堂として活用され市民らに親しまれた。

五輪開催が契機に

 05年に県のワークショップに参加したのを機に、保存活動に取り組んできた宮田さん。「歴史的意義がある建物。ぜひ後世に残したい」と奔走してきたが、実現までは紆余曲折の道のりだったという。

 民間業者による委託運営は3億円超とも試算される改修費が重荷になり、採算面でとん挫。市への移譲を促そうにも県有地の中心部にあり、思うように進まない。

 八方塞りともいえる状況の中で、光明となったのが東京五輪パラリンピックの開催に伴う同センターの大改修だった。宮田さんは「まるで神風が吹いたようだった」と振り返る。

 高名な建築家が設計しただけでなく、グリーンハウスは戦前戦後の歴史を如実に物語る。例えば3階の資料室には歴代大会の優勝者プレートが展示されており、太平洋戦争の開戦前日も「日米友好」の証として、米国大使賞の大会が行われていたことが分かる。

 宮田さんは「ここでしか分かりえない歴史がある。多くの市民に知ってほしい」と語った。



 グリーンハウスは新型コロナウイルスの影響で現在非公開。県は今後感染状況を踏まえた上で一般開放するとしている。

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