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藤沢 人物風土記

公開日:2021.04.09

産婦人科医で、性教育をテーマに全国で講演活動を行っている
遠見 才希子さん
片瀬出身 36歳

同じ目線で一緒に考え

 ○…性についてもっと気軽に楽しく、真面目に考える場があっても良いのでは―。医大生だった10代の時、性教育の知識共有や普及活動を行うピアエデュケーションに参加してふと思った。当時受け皿と呼べるものはなかったが、「ならば自分で」と在学中から中高生対象の講演活動を始めて16年になる。産婦人科医となった今も原点は同じ。自らや当事者の経験を通じ、「同じ目線で一緒に考えること」だ。

 ○…「えんみちゃん」の愛称で親しまれ、全国700カ所以上で登壇してきた。避妊手段を知らず妊娠した中学生、性病に感染し相談できずにいた高校生。境遇は様々だが、根底で共通するのは性に関する知識不足だった。ただこう強調する。「子どもがいけないのではない。社会が性を”タブー視”し、ないがしろにしてきた結果」。現行の中学校教科書では、学習指導要領に基づき「性交」や「避妊」の記述さえない。かたや世界ではそれら性の選択は人権として捉え、避妊具についても12歳頃までに学ぶのが主流だ。「性に向き合うのは自分と他者の体を思いやること。まずは大人が意識を変えないと」

 ○…湘南高校に通った青春時代。「成績はクラスでビリ。最初はやりたいことも見つからなくて」と苦笑い。熱中したのは他校の友人から手ほどきを受けたチアダンス。その後母校でもチームを立ち上げ、練習に明け暮れた日々は今も良い思い出だ。

 ○…1歳と3歳、2児の母。子育てと産科医としての仕事を両立し、オンライン講習も毎週のようにこなす多忙な日々だ。原動力は何か。「参加した中高生からの声かな。模索しながらではあるけど、これからも当事者目線で性教育に風穴を開けていきたい」。確かな信念が瞳ににじんだ。

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