コーヒーを飲んだ時、チョコレートを食べた時など、飲食時に呼気とともに香りが鼻から抜ける感覚――。その「香り」に着目し、計測する装置を(株)バイオクロマト=本町=が開発した。7日には中小企業優秀新技術・新製品賞の一般部門で奨励賞を受賞。「食品開発などで従来の官能評価を機器分析的に裏付けできる」と評価された。
食品開発の現場では人間の味覚や嗅覚などの感覚をもとに、調査や分析、試作を積み重ね商品を開発する。しかし人間には1日の計測に限度があり、また開発者の体調や好みにも左右されるなどの課題もあるという。
その課題解決の一助となるのが、同社が開発した「レトロネーザルアロマ計測システム」。レトロネーザルアロマとは、飲食時に呼気とともに鼻から抜ける香りを指し、この香り成分をイオン化し、分子を直接読み取って分析。それを心電図のようなグラフに数値で表すことで、香りの放出挙動を可視化できるようにした。
例えばツナの場合、食前はイオンを検知するメーターにさほど変化はないが、食事を開始してから徐々に反応し、18秒後にはメーターが大きく揺れる。口の中からツナが無くなった12秒後には食事中よりも大きい反応を確認。その後もメーターが大きく反応し続けていることから食後の余韻時間の方が鼻に抜ける香りの影響が高いと分かる。
香りが可視化されデータとして残ることで、ヒット商品を分析し、人気の理由とひもづけることも可能に。消費者の嗜好とマッチした香り情報が分かることで、新たな商品開発に寄与することも期待される。また開発会社が人員を入れ替えても有用性が高い。実際に、製品が発表されてからすぐに大手食品会社から製品導入の問い合わせが来るなど、注目度は高まっているという。
同社代表取締役の木下一真さんは、「より人間の感覚に近づけるために開発を進めていく」と話した。
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