自身3作目となる「ポーチとノート」を先月出版した児童文学作家 こまつ あやこさん 市内在住 35歳
「お守り」のような本を
○...「自分の体の事や生理のことを誰かに相談するなんて絶対無理」。自身も10代の頃、同作の主人公と同じ悩みを抱えていた一人だった。コロナ禍で10代の妊娠相談が増えているニュースなど、不安や疑問を抱える女の子たちのSOSに気が付いた。「人に話せなくて心細かった自分が読みたいと思う物語を書こう」。そう決心し筆をとった。
○...2017年に処女作「リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ」が講談社児童文学新人賞を受賞。華々しいデビューに続き、2作目は日本児童文学者協会新人賞を受賞した。一貫したテーマは「10代中高生に悩みや不安にそっと寄り添う『お守り』のような本」。待望の3作目は性を題材とし、初恋を通じて自身の体や気持ちと向き合っていく女子高生の姿を描いた。
○...幼い頃は活発で言いたいことをはっきりと言う性格。一方で病気がちで入院することもしばしばあった。そんな時、心の拠りどころとなったのは本。「寂しい時も様々な本を読むことで世界が広がり、ベッドの上でもワクワクする気持ちに」。小学生の頃から作家を志すようになった。中学生時に「ヤングアダルト文学」に出会い共感。自身も悩んだ10代。成長の狭間で身体的・精神的にも悩みが多い時期の若者には思いも深く、自著が寄り添い、エールになればと願う。
○...大学で司書の資格を取得し、卒業後は公共図書館や学校の図書館司書として勤務。現在も図書館に勤め、二足のわらじと忙しいが、決して苦では無い。「どちらも『人と本をつなぐ仕事』でやりがいを感じる。2つの仕事を通じて、誰かが一歩踏み出す勇気がほしい時に背中を押したい」とやさしい笑みを見せた。
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