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藤沢 人物風土記

公開日:2022.03.11

時宗法主(遊行75代他阿一浄上人)に就任した
東山 心徹さん
74歳

絆の大切さ見直す機に

 ○…藤沢宿発祥の地であり、古来「遊行寺」の名で親しまれる藤澤山無量光院清浄光寺。宗祖の一遍上人から数えて75代の遊行上人に就任した。「自分のできることを全うしたい。皆の支えがあって今がある。恩返しの気持ちで臨みたい」。重責をかみ締めつつ、周囲への感謝が口をつく。

 ○…「大上段に構えるのは苦手」。穏やかな語り口と柔和な笑みに温和な人柄がにじむ。20代で鎌倉・教恩寺の住職となり、僧侶として半生を歩んできた。法主は「遊行上人」とも呼ばれ、宗祖は全国を行脚し念仏の教えを説いた。今、世間に目を向ければ新型コロナウイルスが依然猛威を振い、地域社会にも暗い影を落とす。「感染した人が悪いと敵視する風潮もあった。大変な時だからこそ、互いが励まし合い、乗り越えていかなければ」。未曾有の厄災は人々を日常から遠ざけた。だからこそ、繋がりや絆の大切さを見直す大切さを説く。

 ○…50年近く続ける書道は師範の腕前。2千人以上が所属する書道団体の理事長も長らく務める。コロナ禍以前は拓本の基になった石碑を訪ね、中国の秘境まで足を伸ばした。書に向き合う所作や心のあり方。「その時の自分がそのまま書にも現れる。だから一瞬に最善を尽くす。お念仏にも通じる」

 ○…修行時代を過ごした藤沢は僧としての出発点でもある。当時の苦労を問われると「それが不思議とない」と相好を崩す。「皆さんが大らかに愛して下さった。恵まれていたんです」。地域から「遊行様」と親しまれ、大銀杏がそびえる境内はかつて旅人が身体を休めた安らぎの場でもあった。「互いを思いやり、支えていく。そんな地域を作る上で、人々にとって心の拠り所になる場所であり続ければ」

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