藤沢 経済
公開日:2023.02.17
湘南藤沢インキュベーションセンター
産業創出へ「巣立ち」支援
公的機関の信用強みに
起業を志す実業家のスタートアップを支援する施設の先駆けが、藤沢駅北口の藤沢商工会館ミナパーク内にある。(公財)湘南産業振興財団が運営する「湘南藤沢インキュベーションセンター」(SFIC)だ。これまでのべ150を超える事業者が入居し、巣立っていった。同施設が強みとして掲げるのが、公的施設としての信用と「伴走型支援」だ。
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施設は2014年4月に開設。前身の湘南インキュベートルームを含めると、22年にわたって起業や新規事業の立ち上げをサポートしてきた。
ミナパーク3階にあるオフィスには、個室13室と大部屋を区分けする「シェアードオフィス」があり、会議室や交流スペースも備える。駅徒歩3分の好立地ながら、シェアードなら月額約2万円程度、個室でも約4万1千円〜と手頃だ。
原則3年の入居制限はあるが、商工会館を事業所として登記でき、名刺にも公的施設の名前が印字されるため「取引先の信用を得やすい」と同財団の佐藤和彦さん(30)。さらに伴走型の支援として、入居者の世話役を担う「インキュベーションマネジャー」(IM)が常駐し、顧客との橋渡しや新規事業の相談にのったりもする。
現在個室に入居するのは12社。IT系や製造業、旅行業、人材関連など業種はさまざまだ。
人材コンサルティング業務を手掛ける、定着採用(株)は、昨年8月に入居。中小企業に、中長期を視野に置いた人材獲得のノウハウを指南する業務で、すでに全国に20社近い顧客を抱える。
需要の多さから現在新規受注を一時停止する好調ぶりで、同社社長の岡本健太さん(41)は「ここに入居したことで創業時のハードルとなる信用力を獲得できたことが一因。IMが地域のキーマンとつないでくれるのもありがたい」と話す。
施設を運営する同財団が起業家育成の先に据えるのが、地元藤沢での産業や雇用の創出だ。実際入居した企業が100人を超す規模まで成長した好事例もある。
佐藤さんは今後について「学生ベンチャーを含む若い世代に積極的にアプローチし、取り込んでいきたい。若年層へのPRにも力を入れていく」と展望を語った。
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