3月に実施される市立小中学校の卒業式について、藤沢市教育委員会は先月22日、式典で卒業生のマスク着用を求めない方針を明らかにした。校歌斉唱時や一斉に言葉を述べる「呼び掛け」の際は原則着用とするが、それ以外は児童生徒に委ねる。教職員と在校生については原則着用とする。同日、各校に通知した。
卒業式のマスク着用を巡っては、政府が今春、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけを「5類」に引き下げるのに伴い、児童生徒と教職員についてはマスクなしを「基本」とする方針を示している。県教委は県立高校の卒業式ではマスクの着用を求めず、在校生や教職員には着用を促すとする旨を通知。市教委はこれに準じた。
ただ、新型コロナへの感染不安などから着用を望むケースなどがあるため、外すことを強制せず、偏見や差別が起こらないよう学校現場に配慮を求める。児童生徒数が多く、座席の距離を十分確保できない場合などを想定し、教職員と在校生については原則着用。保護者については着用の協力を求めるとした。
国歌や校歌斉唱時には十分な間隔を空けた上で、卒業生にも着用を促す。学校長や児童生徒が式辞を述べる場合は求めない。換気や入場時の手指消毒など基本的な感染症対策は従来通り実施する。
保護者からは、家族に基礎疾患がある場合やクラスター(感染者集団)への懸念から慎重論も根強い。辻堂小学校に通う2児の母親(40代)は「マスクは任意と受け止めているが、それぞれ状況が異なると思うので、個人の判断を尊重してほしい」と話した。
小中学校の入学式についての対応は未定。4月以降、感染症に関する国の衛生管理マニュアルが示される見通しで、市教委は県のガイドラインも加味し、改めて方針を発表するとしている。
対策浸透、外すのに抵抗感じる子も
文部科学省は学校向けマニュアルで登下校や体育ではマスクは不要とし、身体的距離が十分とれないときに着用を促す見解を示している。ただ、学校現場ではマスクが感染症対策として浸透しており、外すことに抵抗感がある児童生徒も少なくない。
市内で教鞭をとる40代中学教諭は「特に女子が『恥ずかしい』という意識が強い。入学してから着用が当たり前で互いの素顔を知らないことも珍しくない」と打ち明ける。体育の授業で県の方針を伝えてもマスクを外す生徒は半分に満たないといい、「卒業式は保護者にとっても記憶に残る日。一時でも外してほしいのだが」と気をもむ。
別の40代小学校教諭もマスクが原則不要になることを基本的には歓迎の立場だ。「必要とはいえ、不自然な状態で学校生活を送る子どもたちがふびんだった」と話す。「子どもの感染リスクは低く、クラスターもほぼない。陽性になることへの考え方も変わってきており、個人的にはコロナ前に戻していいと思っている」と吐露した。
藤沢版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|