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藤沢 人物風土記

公開日:2023.07.14

藤沢市歯科医師会の会長を務める
吉田 耕一さん
湘南台在住 66歳

胸に宿る「恩返し」

 ○…「食べることは命の根源。それを守るのが歯科医師の役割」と声を張る。市内の歯科医師ら176人が加入する藤沢市歯科医師会。休日急患診療や地域啓発事業など公益法人として活動は多岐にわたる。近年はコロナに翻弄されたが、中止していた事業の再開も予定している。転換点の舵取り役だが「しっかりと使命を果たしたい」と、忙しさをむしろ楽しむ。

 ○…鳥取県生まれ。藤沢に移って以来、中学生の頃から湘南台の我が家は変わらない。自衛官だった父の背中を見て育ち、パイロットとして災害現場に赴く姿に自然と憧れたが、父からの意外な言葉は今も忘れられない。「国は俺が守る。お前は人の命を守れ」。医の道は数多くあるが、より身近な歯科医を志し神奈川歯科大学へ。在学中はラグビー部に所属。汗と泥にまみれて練習しながら、心と体を鍛えた。

 ○…部活の先輩の医院で歯科医師の第一歩を踏み出し、28歳で独立開業した。当初は「院長になったからには全て自分でやらねば」と気負っていたが、その考えはすぐに誤りと気づいた。「院長になっても学ぶことは日々あったし、患者様から教えていただいたこともたくさんあった」と若気の至りを笑う。悩みを払拭できたのは、歯科医師会の仲間の力も大きかった。「親身に相談に乗ってくれて、救われた」。会長に就任して、胸に宿る言葉は恩返し。「『会員でいてよかった』と思ってもらえる会にしたいね」

 ○…ラガーマンから転身して今は野球が休日の楽しみ。歯科医師会のチームや還暦チームなど精力的だ。ポジションは最も頭脳を使うキャッチャー。「倍疲れる」というが、「成し遂げる喜びはその分大きい」と満面の笑み。趣味でも多忙は活力の源だ。

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