藤沢 人物風土記
公開日:2023.12.01
60周年を迎えたNPO法人西浜サーフライフセービングクラブの理事長を務める
篠 岳瑠(たける)さん
片瀬海岸在住 46歳
つながりと感謝、次代に
○…水難救助の最前線に立ち、海の安全を守るライフセーバー。日本初のライフガード組織として創立して以来、世代は変わっても志と理念は連綿と受け継がれてきた。「人の命に向き合い、汗をかいてきた結晶。これを次につなげたい」。理事長に就いて6年。クラブが歩んできた歴史をかみ締め、先を見据える。
○…ライフセービングに出会ったのは大学生のとき。高校までバレーとラグビーに打ち込んだが、けがで継続を断念。他者と競うのではなく、自然の中で自己研鑽できる活動に惹かれた。クラブは当時、日本有数の規模とともに「日本一厳しい」ことでも知られたが、過酷なトレーニングを乗り越え成長を重ねた。以来、人命救助の現場一筋。理事長になった今でも夏には浜に立つ。「自分ではなく人のためだからがんばれた。修行し続けるのが性分に合っていたのかも」と笑う。
○…メンバーそれぞれが日頃学業や仕事の傍ら活動に取り組む。自身のもう一つの顔は特別支援学校の教員。20代は体育の教員だったが、重度障害がある子どもたちと触れ合う中、「一生やるべき仕事はこれだ」と一念発起し、34歳で免許を取り直した。「自分の日常は当たり前じゃない。そういう世界があると気付かせてもらった」。自分ではなく、人のために。根底にライフセービングの理念が重なる。
○…当たり前のものなんてない―。人の命も同じだ。クラブが重視するのが人命救助活動に伴う人間教育の実践。仲間や家族に感謝する心、自然を慈しみ、困っている人に手を差し伸べる。いずれもライフセービング活動を通して得られる価値観だ。「感謝の心があってこそ成長につながる。西浜は『ありがとう』を学べる場。これからもそうあり続けたい」
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