みその台在住の彫刻家、親松英治さん(90)がライフワークとして手掛けてきた全長約10mにも及ぶ木彫りのマリア像が、長崎県南島原市にある「原城聖マリア観音ホール」に展示された。島原の乱(島原・天草一揆/1637〜38年)の犠牲者への鎮魂を目的に、40年ほど掛けて制作。木彫り像としては世界最大級とされる。16日には落成式が行われ、関係者約80人が祝った。
熱心なキリスト教徒の親松さんは、若い頃に同市に訪れた際、島原の乱による犠牲者を弔う慰霊碑がないことを知った。「彫刻家として何ができるか」。ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世が1981年に初めて訪日した際に、木彫りのマリア像と島原への思いをしたためた手紙を送った。後日、「あなたの人生を祝福する」との返信が届き、「絶対に作り上げる」という情熱が芽生えた。
聖園女学院の敷地内にあるアトリエでは天井の高さが足りなかったため、上半身と下半身に分けて作業。素材には、樹齢200〜300年のクスノキを使用した。
受け入れ先として発足した「南島原世界遺産市民の会」が約7千万円の寄付を集め、ホールの建築など進めていた。親松さんは「ようやく完成できた」と安堵の声をもらし、「仏・ルルドの聖母のような存在として、マリア像が島原半島の発展に寄与できるよう見守っていきたい」と語った。
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