今年6月から大船観音寺の監寺を務めている 松樹 泰弘さん 33歳
「生きることが修行」
○…市内岡本にある大船観音像。訪れたことはなくても、大船駅の傍らから目にしている人は多いはず。大船のシンボルとして位置づけられているこの寺の監寺として、今年6月14日からその任に就いている。「思ってもみなかった」抜てきに1カ月悩んだが、曹洞宗大本山總持寺(そうじじ)での修行時代、約7年間随身(ずいしん)(付き人)し、敬慕していた故・大道晃仙禅師の直々の勧めに、大任を拝する決意をした。
○…大船観音には、かつて節分の手伝いなどに来ており「観音像は微笑ましく、魅力的なお寺」と感じていた。「力不足なりに、皆で切磋琢磨し、和気あいあいとやっていきたい」と落ち着いた口調で語る。優しい目でしっかりと相手を見すえ、実直、誠実という言葉が浮かんでくる。展望を尋ねると、「アジアの異文化交流として、例年9月に『ゆめ観音』を開催しているが、その中で、中高生のブラスバンド演奏など、地元との交流の場を作りたい」と、地域への密着を挙げた。
○…海老名市の永珊寺の住職でもある。「お寺の家系」で、もとは大叔父が住職だった。小三の時に父親を亡くし、力を合わせて生きてきた6歳上の兄が、現在実家の常泉院を継いでいる。「都会的な大船観音寺」と「アットホームな永珊寺」の二足のわらじを履くが、基本的に「寺はお茶を飲みに来るところ」と考える。「いいことも悪いことも話をすることでスッキリしてお帰りいただければ」と話し、「急坂がネック」である同寺への参拝も、「電話一本頂ければ、できる限り下までお迎えに行きます」。
○…20歳から本格的に修行の道に入ったが、中学・高校の頃はバレーボールに打ち込み、学生時代はドーナツ屋で「社会人ばりの労働時間」アルバイト。しかし実は「甘いものは苦手」らしい。酒を飲むことは好きで、お気に入りは焼酎。地産の酒もよく飲む。現在、海老名と大船を行き来する忙しい日々をサポートしてくれる伴侶を「募集中」だ。