「鎌倉市小・中・高 学生音楽コンクール」にピアノで出場し、総合第1位に輝いた 井上 陽南子さん 横浜市在住 15歳
幅広く日進月歩
○…11月25日に行われた第58回「市小・中・高 学生音楽コンクール」本選会で、ピアノ・高等学校部門に出場し、総合第1位の「鎌倉市長賞」を受賞した。「レベルが高く勉強になる」と、同大会には小学1年から参加。これまでに部門ごとの1位受賞はあったが、市長賞は今回が初めて。演奏したショパンの「幻想曲」を、「『今の時点では』一番良く弾けた」と振り返る。その前置きには、向上心のあらわれを感じさせる。
〇…ピアノを始めたのは4歳の時。母親が弾く姿に憧れ、当時住んでいた福岡県でピアノ教室に通い始めた。小学校入学前に横浜市へ転居した後も習い続け、ピアノを始めて2年目に第15回「夢コン全国大会リトルコンチェルト部門」で第1位に。以後は国内のみならず海外のコンクールに出場するなど、現在に至るまで活躍の場を広げている。今年4月から東京音楽大学付属高等学校で、さらなる飛躍を目指して勉強中だ。
〇…学校が終わるとすぐに帰宅、一日4時間の練習に励む。多忙の中、好きな本で感性を磨く。向田邦子のエッセイや、星新一などを愛読。山本一力に夢中になっていた時は、「友人に『シブい、何歳?』と笑われた」とはにかむ。ルーベンスやフェルメールなどの画集を眺めたり、映画を観たりと、より幅広い芸術に興味を傾ける。日本の歌手、スガシカオは「小学生の頃から好き」。最近はイギリスのヴォーカルユニット、イル・ディーヴォもお気に入り。本と音楽が往復3時間の通学の強い味方だ。ピアノ以外にしたいことは、「料理やお菓子作り」と微笑んだ。
〇…「表現に苦しむことはあるけど」としながらも、「ピアノは自分の思いを的確に表現し、心を開けるもの」と語る。今夏訪れたドイツで「ヨーロッパの人は音色(おんしょく)に対しての意識が高い」と痛感した。音の中に色や香りまでを表現しようとするのだという。ピアニスト目指して「もっと多彩な音色を」と追い求める。