鎌倉商工会議所の会頭に就任した 久保田 陽彦さん (株)豊島屋代表取締役社長 54歳
「愛する鎌倉に恩返しを」
◯…11月1日付で鎌倉商工会議所の会頭に選任された。就任直後から様々な予定が入り「こんなに忙しいとは思わなかった」と首をすくめる。ただその慌ただしさを楽しんでいる様子で「先輩たちが残してくれたものを活かしながら、自分なりの色を出してまちを元気にしていきたい」と笑顔で意気込みを語る。
◯…会頭として取り組みたい課題の一つとして、住民と来街者の「ギャップ」の解消を挙げる。年間1800万人が訪れる鎌倉にとって、観光は重要な産業である一方、ごみや渋滞の問題が住民の生活を脅かしている。「(住民と観光客の)橋渡しができるのは私たち商工業者。住んでも、来ても、良かったと思えるまちにしていきたい。お金はかけなくても発想の転換でまだまだ良くできる」と語る。すでにいくつものアイデアが頭にあるようだ。
◯…「鳩サブレー」で知られる(株)豊島屋の4代目経営者が普段の顔だ。先代の父から事業を継いで約5年。創業100年を超える老舗を率いることを「プレッシャーに感じたことは一度もありません」という。社員に呼びかけ、自らも心がけているのが「仕事を楽しむこと」。「やるからには『苦しい』とか『辛い』は言いたくない。いつもワクワクしていたい。私たちが楽しんでいればこそ、仕事を通じてお客様に笑顔を届けられる。それが地域の元気にもつながれば」と力強く語る。
○…今夏話題となった海水浴場の命名権取得をはじめ、地域貢献にも積極的に取り組んできた。そこには生まれ育った故郷への感謝がある。「鳩サブレーを生み出した初代はもちろん、事業を継承し発展させてくれた父や祖父、何より鎌倉のお客様がいなかったら今の私はいません。だからこそ自分と会社を育ててくれた鎌倉に恩返しをしていきたい」と噛みしめるように話す。新たな鎌倉の顔として、その双肩にかかる期待は大きい。