大船警察署の署長に就任した 綿引 緑さん 市内在住 54歳
強い意志秘め地域守る
○…県内初の女性署長として大船警察署に赴任して3週間ほど。現在は街を知るために東奔西走の日々を送る。「緑が多くて良い街だと思う。地域の治安を任される責任の重さを感じている。大船の顔として信頼してもらえるよう頑張りたい」と表情を引き締める。
○…横須賀市出身。「女性でも一生続けられる職業に就きたい」と青少年育成に携わる仕事を目指し、大学では教育学を専攻。しかし、卒業時に希望していた家庭裁判所での採用がなかった。周囲から警察という道もある、と助言を受け、戸塚署から警察官人生をスタートさせた。「実際入ってみると青少年育成とは全然関係ない部署への配属でしたが」と笑顔で話す。
○…「継続したこと、それが力になったと思う」と自身のキャリアについて振り返る。様々な部署を経験し、異動はこれまでに10回以上。その中でも交通課勤務が17年と長かった。事故防止のための啓発活動が主な業務で「遺族の方と映画上映会を開催したとき、親しい人を亡くした喪失感を目の当たりにした。自分の仕事の重要性に気が引き締まった」と語る。大船署に赴任する前は県の被害者支援室を担当。被害者の話を聞き、裁判やその後の生活の支援などを行った。相談者のほとんどが女性、そして7割近くが性犯罪に関わることだったという。「泣き寝入りする人が多いのが現状。でも新たな被害者を出さないためにも断固として立ち向かって欲しい。私たちがついていますから」。凛とした表情を見せる。
○…署長就任に伴い、現在は大船署近くの官舎で暮らすため、同じく警察官である夫とは「別居中」と笑う。息子2人の母親という一面も持ち、子どもについて話が及ぶと厳しい警察官の表情が少し和らぐ。昨年、ご朱印帳を購入したことをきっかけに寺院めぐりにはまっているという。「市内は有名なお寺が多いので、今からお伺いするのが楽しみ」と笑みを浮かべた。