課金によって区域内への自動車の流入を抑制する「ロードプライシング」。導入に向けた検討が、市が交通計画の策定を諮問する委員会で始まった。実施を選挙公約にも掲げた松尾崇市長の要請を受けたもので、東京五輪が開催される2020年までに「渋滞のない鎌倉」の実現を目指すとしている。
一昨年発足し、市民や商工業者、学識経験者、行政関係者らが協働で市の交通政策について話し合っている「鎌倉市交通計画検討委員会」。昨年10月31日の同委員会に出席した松尾市長は、選挙公約としてロードプライシングを掲げたことなどを説明し「実施に向けた議論を」と要請した。
これを受け同委員会では、昨年12月から今年3月にかけて実施した専門部会で、実現の可能性や導入した際の効果と課題に関する話し合いを行った。
3月26日には結果が報告され、流入交通量の減少が期待されること、道路法では一般道路から料金の徴収を禁止する規定はないこと、などから「課題はあるが実施の可能性はある」として、議論の継続が確認された。
地域経済にも配慮
鎌倉市では、これまでもロードプライシング導入に向けた話し合いが行われてきた。竹内謙市長時代の1995年には「鎌倉地域交通計画研究会」が発足。同研究会の提言に基づく社会実験も検討されていたが、99年12月議会に来街者の減少を懸念する商業者らの団体から中止を求める陳情が提出されたことなどから、実験は行われなかった。
そのため今回の検討では、自動車で市内を訪れた人に飲食や買い物に使える地域通貨を発行したり次回公共交通で訪れた際の料金を割り引くなど、徴収したお金を原資とした地域振興をセットとした仕組みを提示。今後の議論はこの考えを軸に進めていくという。
市長「任期中に社会実験」
今年度は法制度の研究や市民への広報、メーカーへの聞き取りを実施する。松尾市長は「任期中に社会実験を行うめどをつけたい」としており、市は早ければ2017年度にも社会実験を行いたい考え。東京五輪が開催される2020年までの渋滞解消を目指す。
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