全国少年補導栄誉銀章を受彰した 安齊 輝信さん 坂ノ下在住 68歳
鎌倉と共に生きて
○…鎌倉少年補導員連絡会として初めてとなる全国少年補導栄誉銀章を6月23日、警察庁長官などから受彰した。地域住民と警察官による定期的な夜回りを活動の柱にする同会に入り26年。6年前から昨年まで会長として会を引っ張り、永年にわたる青少年育成への功績が認められた。
○…きっかけは鎌倉青年会議所(JC)の先輩の勧め。「JCの活動に区切りがついた時期で、やってみようと思った」と振り返る。夜にたむろする若者に積極的な声掛けをし、「昔はコンビニでタバコやシンナーを吸っている少年たちがいた。最近はゲームやパソコンがあるからか、外で遊んでいる子を見ないね」と、世の中の変化を見つめる。
○…鎌倉生まれ、鎌倉育ち。子どものときは海で釣り、山で探検、御霊神社で野球の毎日だったという。「境内で野球しているのが見つかるとこっぴどく怒られてね」と当時を懐かしむ。稲村ヶ崎小、御成中、横須賀学院高等学校を経て明治学院大学経済学部へ。大学封鎖など激動の時代を共に過ごした当時の友人たちとは「今でも飲み仲間」と嬉しそうに話す。本業は坂ノ下にある(有)安齊工務店の3代目。市内の有名寺社仏閣の修繕からビルの建設まで幅広く行っている。大学在学中に先代である父を亡くし、兄と協力しながら30歳を前にして家業を継いだ。「小さい頃から先代や大工の仕事は身近だったから不安はなかった」と話す。
○…周りから「趣味を作ったほうがいい」と言われるほどの仕事好き。しかし一昨年、脊椎の疾患で首から下が突然動かせなくなった。手術とリハビリの結果、4カ月後には仕事の現場に復帰するまでに回復した。「形に残るモノを人に渡すことがやりがいとなり、働く原動力になる」と仕事に情熱を注ぐ。一方息抜きは「7人の孫との時間」と顔をほころばせた。今は夜回りからは離れているが、これからもその優しい目で鎌倉を見守り続ける。